ホンダ S2000は故障(不具合)しやすい?過去の故障事例やリコール情報など交えて解説

販売終了から10年以上経過した今も、復活を望む声が多く寄せられるホンダ S2000。スポーツかとオープンカーの2つの顔を持つホンダ S2000は多くの人に愛されてきました。現在購入できる方法は中古車のみとなっていますが、中古車で購入する場合、やはり故障(不具合)が心配ですよね。ここではこれまでに報告されたホンダ S2000の故障事例やリコール情報、修理費用など徹底解説します。ぜひ参考にしてみてください。

ホンダ S2000は故障(不具合)が多いのか?

ホンダ S2000に関する故障(不具合)の声

40代/男性

10年程、S2000とともにしてきましたが、スプールバルブのオイル漏れやドライブシャフトからの振動などがありました。初期型は不具合や修理が多くなる傾向にあると言われていましたが、さほど多いとは感じませんでした。

30代/男性

中古車で購入したため、故障も心配していましたが、5年経っても何一つ故障することはありませんでした。が、最近パワーウィンドウの調子が悪いですね。

50代/男性

以前S2000に乗っていましたが、タイロッドの交換やドライブシャフト交換などが立て続けにあったので、やむを得ず手放すことになりました。でも、経年劣化からくる故障かなと思っているので、車そのものの不具合ではなさそう。

年齢不詳代/男性

ヒーターホースが抜けてオーバーヒートした経験があります。故障ではないけどメーカーの不具合かな?他には特に故障もなく大満足の車です。

30/男性

先輩が乗っているのを見てほしくなり、中古車で購入しました。一応、十分に確認をして購入しましたが、帆のまわりやトランク周りで雨漏りをしている箇所がいくつか。雨の日の運転はできません(笑)S2000のためにカーポートも付けました(笑)

60代/男性

人生最後の車にとS2000を購入しましたが、購入後すぐにクラッチから異音がして交換する羽目に。そのあと、数年経ってからエアコンが故障しました。ただデザインや性能には大満足なので、これからも乗り続けます。

ホンダ S2000の故障(不具合)が多い箇所

工業製品である以上、ホンダ S2000が故障や不具合を起こさないとは言い切れません。

ホンダ S2000の故障(不具合)しやすい箇所は以下の通りです。
購入する際は、しっかり確認しておきましょう。

  • エンジンの不具合や故障(初期型S2000)
  • エンジンオイル漏れ
  • 電装品に関する不具合や故障
  • オルタネーターの不具合や故障
  • コンプレッサーの故障
  • パワステの不具合(故障)

ホンダが発表しているS2000に関する故障・不具合・リコール情報

主ブレーキ一般に関する不具合(2013年6月13日届)

負圧式ブレーキ倍力装置(マスタパワー)において、製造工程でのマスタパワーの筐体加締め位置が不適切なため、ブレーキペダルを踏むとマスタパワー内の負圧を保持するシールがずれ、負圧が保持できなくなるものがある。そのため、ブレーキを踏んだ際に、運転者の予測より制動停止距離が伸びるおそれがある。

対象車両

型式 車台番号
ABA-AP2(S2000) AP2-1000290~AP2-1001328(平成18年1月20日~平成18年11月17日)

走行装置(ホイールボルト)に関する不具合(2001年6月6日届)

車輪を取りつけるホイールボルトの熱処理に不適切なものがあるため、当該ボルトが折損することがあり、最悪の場合、車輪を保持できなくなるおそれがある。

対象車両

型式 車台番号
LA-AP1(S2000) AP1-1102211~AP1-1102550(平成13年1月10日~平成13年3月6日)

座席ベルトに関する不具合(2000年10月4日届)

座席ベルトの巻き取り装置において、装置内部のロック機構(Gセンサー)のアクチュエータの形状が不適切なため、当該ベルトがロックしたままとなることがあり、最悪の場合、座席ベルトが引き出せなくなるおそれがある。

対象車両

型式 車台番号
GH-AP1(S2000) AP1-1000034~AP1-1008567(平成11年 3月18日~平成12年 4月29日)
LA-AP1(S2000) AP1-1100001~AP1-1101500(平成12年5月10日~平成12年 9月22日)

緩衝装置(ナックル)に関する不具合(2000年2月21日届)

緩衝装置の前輪用ナックルのロアアーム取付部の剛性に余裕がないため、サーキット走行等の過酷な走行を繰り返し行うと、ロアアーム取付部に過大な荷重が加わることから、当該ロアアーム取付部が疲労により破損し、最悪の場合、走行不能に至るおそれがある。

対象車両

型式 車台番号
GH-AP1(S2000) AP1-1000034~AP1-1003842(平成11年3月18日~平成11年6月8日)

幌カバー(用品)に関する改善対策(2000年1月24日届)

電動式幌装着の乗用車(オープンカー)において、幌収納時に使用する幌カバーの形状が不適切なため、座席位置によってはシートベルトが当該カバーと座席の背もたれに挟まれ、最悪の場合、緊急時に巻き取りが遅れ有効に作用しないおそれがある。

対象車両

型式 車台番号
GH-AP1(S2000) 製作期間:平成11年 7月26日~平成12年 1月13日

ホンダ S2000各部品の修理費用

ここでは、ホンダ S2000各部品の修理費用の相場をご紹介いたします。

故障(不具合)箇所 費用
エンジンの不具合 交換の場合5万円前後
エンジンオイル漏れによるオーバーホール 100万円前後
センサーとECUの接触に関する不具合 数千円程度(ただし、O2センサー故障の場合は4万円程度)
エアコンの故障 コンプレッサー故障の場合5万~10万円程度
パワステの故障や不具合 1万円前後
オルタネーターの故障(不具合) 5万円前後

上記でご紹介した費用は、あくまでも目安です。
社外品を利用することで、修理費用を抑えることも可能ですので、まずは整備工場などで相談をしてみましょう。

ホンダ S2000オーナーの評判

では、実際にホンダ S2000を所有している、していたオーナーからの評判はどうなのでしょうか?

ポジティブな意見とネガティブな意見に分けてご紹介します。
まずは、ポジティブな意見です。

  • アクセルを踏み込むたびに楽しさを感じさせてくれる
  • FRスポーツなのでレーシングカーのような感覚が味わえる
  • オープンにしての走りが気持ちいい
  • 年数が経っても色褪せない車
  • 耐久性抜群
  • アクセルのレスポンスがいい
  • コストパフォーマンスが高い
  • 伝統的なスポーツカースタイル

一方、ネガティブな意見は次のようなものが挙げられました。

  • 荷室は狭い(許容範囲内という意見多数)
  • 飲み物が置きにくい

ホンダ S2000とはどんな車?

ホンダ S2000は、本田技研工業(以下、ホンダ)が製造・販売していた「S」シリーズの普通自動車クラスの、FR型クーペまたはオープンタイプのスポーツカーです。

軽自動車ではS360など、小型自動車ではS500などがあり、そのワンランク上、普通自動車に設定されていたのがSシリーズ第4弾となる「S2000」です。

ホンダの創立50周年を記念して1998年に発表されたのが最初で、1999年に販売が開始されました。このとき、ホンダが製造する「FR(後輪駆動)」としては、なんと29年ぶりということで話題を集めたものです。

ただし、残念ながら注目度の高さと販売台数の伸びは比例せず、国内では10年間でわずか2万台の販売に留まりました(世界的に見れば11万を超えるオーナーを獲得しています)。

しかし、ターボチャージャーやスーパーチャージャーといった過給機を使用せずに、大気圧のみでシリンダー内に吸気する「2リッターの自然吸気車」としては、驚異的とも言える250PS(馬力)を誇るエンジンは、販売台数の伸び悩みをよそ目に大きな注目を浴びたのも事実です。

そればかりか、すでに生産が終了しているにも関わらず、今、まさにそのエンジンのすごさが改めて注目を浴び、人気が少しずつ再燃してきている車種でもあります。

生産が終了、とお伝えしましたが、ここにも逸話があります。ホンダが「S2000」の産終了を発表したのは2009年1月のことです。「同年6月に生産を終了する」というものです。ところが、そこから注文が殺到し、結局8月まで生産され続けたのです。

それも「受注がなくなったから8月で終えた」というわけではないようです。みんな、心のどこかで「S2000に乗りたい」と思っていたのでしょうか?

さて、ここではそんな不思議な魅力を持つホンダのS2000について、その特徴や基本スペック、中古車価格などをご紹介していきます。

ホンダ曰く「唯一無二の走りのよろこびをもたらすクルマ」

「唯一無二の走りのよろこびをもたらすクルマ」

ホンダは、自らS2000をそう表現しています。

オープンタイプでありながら、クローズドボディタイプと同等またはそれ以上の剛性を備えたオープンボディ、前述のように、自然吸気車としては世界最高峰のパワーを発揮する量産型エンジンなど、それまでの常識を見事に覆すさまざまな技術が盛り込まれているのです。

S2000を語るのであれば、やはりエンジンの性能に触れない訳にはいかないでしょう。

当初、S2000に採用されたのは、エンジンルームに縦に設置された「F20C」エンジン(直列4気筒DOHC VTEC  NA2.0リッター)です。「総排気量1997cc」「最高出力184kW (250PS) / 8300rpm」「最大トルク218 Nm(22.2kgfm) / 7500rpm」、さらに「許容回転数9000rpm」を誇るものでした。一般的な普通自動車としては、当時というより今でも、ほとんど見かけることがないほどの高速回転型エンジンと言えます。

2005年にマイナーチェンジを行った際、エンジンは「F22C」へと変更されています(北米向けは2004年から変更されていました)。VTECを基軸としたNA(自然吸気)かつ高速回転型のエンジンは「総排気量2156cc」「最高出力178kW(242PS)/7800rpm」「最大トルク221Nm(22.5kgm)/6500rpm~7500rpm」を実現したのです。

ホンダ S2000に搭載されたF20CやF22Cといったエンジンは、ドライバーのアクセル操作に対するレスポンスの機敏さ、高いトルクバンドを利用したリニア的な加速などを体感することができます。

ボディ・シャシー・コックピットにもさまざまな工夫が

「リアルオープンスポーツ」という新しい価値を創造するべく、ホンダはS2000にさまざまな技術や工夫を詰め込みました。

例えばボディは、オープンカーの常識をはるかに超える剛性を備えているだけでなく、FRを採用したことにより、前後重量配分を50:50にすることに成功しています。

また、ホンダのスポーツカーのセオリー「シャシー性能はエンジンパワーに対して常に上回っていること」に基づいて設計されたサスペンション、タイヤ、ホイール、そしてVSA(予測し得ない挙動の乱れに対し、車両を安定させるシステム)までをも搭載することで、リアルスポーツの走りの醍醐味を、オープンボディで体感できる車種に仕上げたのです。

また、ホンダ S2000の走りの醍醐味はコックピットにも隠されています。風洞実験、テスト走行などを重ねに重ねてデザインされたボディシェイプは、不快な風の巻き込みを抑え、心地よい風の流れを体感できる工夫が施されています。

特に、左右のシート間には可倒式のウィンドディフレクターを標準装備して、高速走行中の風の巻き込みを抑えています。また、一年を通じてオープンボディでのドライブを楽しめるよう、冷暖房効果に優れた空調システムを搭載しているほか、膝や腰など冷えに弱い部位を集中的に温めてくれるミドルエアアウトレットが設定されています。

さらに、4つのスピーカーのほか、ヘッドレスト後方にはサテライトスピーカーを標準搭載し、オープン走行中でもダイナミックな音響空間を演出する工夫まで盛り込まれています。

このようにS2000は、販売台数こそ伸び悩んだものの、今でも十分「先進的」「画期的」と思える技術や工夫、そしてホンダの言葉通り「唯一無二の走りのよろこび」や、そこから生まれる「感動」がぎゅっと詰め込まれた一台なのです。

ホンダ S2000のスペックなど基本情報

ホンダ S2000には、「S2000」と「S2000 Type S」があり、基本スペックは次の通りです。

トランスミッション 6速マニュアルトランスミッション
サイズ 全長4135mm / 全幅1750mm / 全高1285mm
ホイールベース 2400mm
トレッド 前1470mm / 後1510mm
最低地上高 130mm
車両重量 1250kg / 1260kg(Type S)
乗車定員 2名
エンジン型式  F22C
エンジン種類・シリンダー数及び配置 水冷直列4気筒縦置
弁機構 DOHC / チェーン・ギア駆動 / 吸気2 / 排気2
総排気量 2156cc
最高出力 178kW[242PS]/ 7800rpm
最大トルク 221Nm[22.5kgm]/ 6500~7500rpm
燃料消費率 11.0km/L / 11.0km/L(10・15モード)

基本的なスペックはS2000もS2000 Type Sもほとんど変わりません。S2000 Type Sは、空力を追求したことにより、高い操縦安定性を獲得した結果、さらに“切れ味重視”のサスペンションにバランスさせた車種です。

「高速域での安定性」「中低速域での切れ味」といった“相反する性能”を求められるのが、厳しいワインディングを攻めるための要素です。これらを見事に両立させることに成功したのが、「S2000 Type S」という訳です。

ホンダ S2000の中古車価格

すでにお伝えしたように、日本国内では10年間で2万台ほどしか販売されませんでした。生産終了のアナウンスとともに駆け込み需要こそあったものの、決して「売れた!」という数字ではありません。

ここでご紹介したように、さまざまな魅力が存分に詰め込まれている車種だけに販売台数の少なさを見ると違和感を覚えるかもしれませんが、しかし、今、改めてその魅力が見直されている訳ですから、むしろ先進的すぎたのかもしれません。

そんなホンダ S2000ですが、新車価格は「S2000」が3,864,000円、「S2000 Type S」が3,990,000円でした。

中古車価格はどのようになっているでしょうか?2019年5月時点で確認できたホンダ S2000の中古車台数はおよそ200台です。意外と多いと感じる人も多いでしょう。

価格帯は95万円〜700万円程度、平均相場は240万円前後となっています。700万円とは驚いてしまいますが、平均相場よりも低めの100万円〜150万円台で十分、コンディションの良いS2000を探すことができます。

年式も1999年〜2006年と幅広くなっており、もちろんS2000 Type Sも含まれていますし、ワンオーナー車も散見されます。

生産終了から10年が経とうとしているにも関わらず、分かる人には分かる魅力と、ホンダが掲げるレーシング魂がこれでもかというくらい詰まっているS2000、走りのよろこびを感じてみたい人はぜひ中古車情報をチェックして、惚れ込むような一台を探してみてはどうでしょうか?

ホンダ S2000を中古車で購入する際に気をつけること

販売終了間近に人気が上昇し、販売終了後は復活を待望する声が多く寄せられるホンダ S2000。現時点で、ホンダ S2000が復活するという噂は入ってきていませんので、S2000が欲しいという場合は、中古車で購入する方法しかありません。

しかしながら、販売終了から10年程が経っていますし、初期型はそれ以上の年数が経過しています。

どんなに見た目の状態が良くても、各部品等の経年劣化も考えられますし、十分に確認したうえで、購入したいところです。

ホンダ S2000を中古車で購入する場合は、以下の点にも注意して確認しておきましょう。

  • 帆周りやトランク周りの雨漏れ
  • オイルなどの液体漏れの跡がないか
  • パワーウィンドウやエアコンが正常に稼働するか
  • エンジン始動時に異音がないか
  • 帆の動きに違和感や完全に開かない/閉まらないという事象は起きていないか
  • 各部品に劣化が起きていないか

どんなに状態が良くても、年数が経っていれば何かしらの不具合が生じていると疑いの目をもって、慎重に確認してください。

まとめ

一度、ホンダ S2000の運転を経験すると病みつきになるほど、ドライブを楽しくさせてくれる性能が詰まった1台です。

復活を期待しつつ、コンディションの良い中古車の購入を検討してみてはいかがでしょうか。

これまで経験したことのないドライビングを味わえることでしょう。