1994年に発売された日産 ラシーンは、コンパクトSUVの先駆けとなる車です。現代の車にはない角ばったデザインで、内装までこだわって作られた日産 ラシーンは発売当初から、現在に至るまで根強い人気があります。今回は、そんな人気の高い日産 ラシーンの、故障(不具合)が多い箇所や故障事例、修理費用について解説します。
目次
日産 ラシーンは故障(不具合)が多いのか?
日産 ラシーンに関する故障(不具合)の声
50代/男性
走行距離7万㎞の中古車を購入。購入した時からアイドリングの不具合があって、エアフロメーターを交換。
30代/男性
たまにアイドリングに不具合が起きます。アイドリング以外の故障は今のところないですね。
30代/女性
パワーステアリングからのオイル漏れ。修理をお願いした車屋さんが、ラシーンではよくある故障だと言っていました。
40代/男性
5万㎞くらいのときからタコメーターに異変が現れ、針が変な動きをしていたり、止まってしまったり。 とくに支障はなかったので、そのまま乗っていました。
30代/男性
中古車を買ったので、エンジンの故障が多くありました。
50代/女性
よく故障していましたね。燃費もあまりよくないので維持費は結構かかりました。でも、デザインに惚れて購入したので、それすらも可愛く思える車です。
日産 ラシーンの故障が多い箇所
工業製品である以上、日産 ラシーンが全く壊れないことはありえません。
日産 ラシーンにも故障しやすい箇所というのがいくつかあり、次のような部品は比較的故障が多いものです。
- エアコンプレッサーの故障(不具合)
- デストリビューターの故障(不具合)
日産 ラシーンは販売が終了してから、すでに20年ほど経っています。エアコンプレッサーは、10年ほどで経年劣化による故障(不具合)が多くなると言われているので、まだ一度も、交換をしていない車両であれば、注意しておいたほうが良いかもしれません。
コンプレッサーから、いつもとは違う音や振動を感じたら故障(不具合)の可能性があります。
また、経年劣化によるエアコンプレッサーの故障(不具合)の場合に覚えておきたいのが、エアコンプレッサーだけの交換では、高い確率でまたすぐに不具合が起きるということです。
コンプレッサーを構成する部品の間で詰まりが起きることが多く、その詰まりがコンプレッサーの故障(不具合)を招いてしまいます。
コンプレッサーの故障(不具合)が起きたら、なぜ壊れたのか、その原因となる部分までしっかり調べてもらいましょう。
デストリビューターも、経年劣化による故障(不具合)が避けられないものです。エンジンをかけようとしても「キュキュキュキュ…」となるだけで全く始動しないようなことがあると、デストリビューターの故障(不具合)が考えられます。
正常な点火ができないことから、起きてしまうエンジンの不具合で、デストリビューターの交換が必要です。
日産が発表しているラシーンに関する故障・不具合・リコール情報
日産の公式サイトで掲載されている、2001年3月30日以降からのリコールには、ラシーンは含まれていませんでした。しかし、対象車全てが、改善のための作業が実施済みとなった場合には、表示されないものもあります。
日産 ラシーンの、過去のリコール情報が知りたい場合には、正規ディーラーや販売店へ問い合わせてみてください。
日産 ラシーン各部品の修理費用
ここでは、各部品の修理費用の相場を紹介します。
故障(不具合)箇所 | 費用 |
---|---|
エアコンプレッサーの故障(不具合) | 10万円~ |
デストリビューターの故障(不具合) | 5万円~ |
エンジンの故障(不具合) | 10万円~60万円程度 |
新品や中古品、リビルト品によって価格に差があります。また、ディーラーや民間の整備工場によっても大きく違ってくるので、一度見積もりを出してもらってから検討してみると良いでしょう。
日産 ラシーンオーナーの評判
実際に、日産 ラシーンを所有している方や、所有したことのある方の評判はどうでしょうか。ポジティブな意見とネガティブな意見に分けて紹介します。
ポジティブ
- 個性のある外観
- デザインが良い
- 装備が充実している
- 明るい内装
- 見切りが良く運転がしやすい
- 悪路でも安定した走り
- 部品が手に入りやすい
ネガティブ
- ブレーキの効きが甘い
- 燃費が悪い
- 収納が少ない
「今の車にはないデザイン」「ラシーンに代わる車はない」など、ラシーンのデザインに関する評価が圧倒的に多かったです。日産 ラシーンの角ばった外観は、かっこよさもありますが、どこか愛くるしさを醸し出しています。
そんなラシーンだからか、多少の故障(不具合)があろうとも、手を掛けるだけ余計に愛着が沸くようです。それだけ魅力がある車だということがわかります。
故障(不具合)があったとしても、ラシーンの部品はパルサーとの共通部品が多く、手に入れやすい点で安心です。また、人気の高さから日産 ラシーンの中古車専門店もあり、自分の好みにカスタムするなど、オリジナルの一台を作れます。
ラシーンとはどんな車?
「ラシーンの登場に心が躍った!」というカーマニアの方も多いのではないでしょうか?ラシーンは、日産自動車(以下、日産)が企画および販売を手掛けていた、今でいうところの「クロスオーバーSUV」です。
クロスオーバーとは、ジャンルの垣根を超えて、さまざまな異なる要素が混じり合うことを意味し、SUVは「スポーツ・ユーティリティー・ビークル」、つまり多目的スポーツ車を意味します。
なお、製造を請け負ったのは、日産とも深い関係にある、自動車部品製造をメインとしたメーカー、高田工業株式会社です。
1993年の第30回東京モーターショーにおいて、まずは“試作車”という形で出展されたのがラシーンの始まりです。
翌1994年(平成6年)12月12日、恵比寿のガーデンプレイスにて発表会が開かれると同時に即日発売が開始されました。
試作から1年というスピードで市場に登場したわけですが、そこには「東京モーターショーの来場者からたいへん好評だった」という背景があります。
さらに、1994年に恵比寿ガーデンプレイスで開いた発表会で、予想を大幅に上回る受注数を獲得したことから、量産化が決定されたという経歴を持ちます。あまり知られていませんが、このように意外と珍しい起源を持つ車でもあります。
ここでは、日産ラシーンの特徴や魅力、基本スペックなどの性能、そして中古車価格の相場などをご紹介していきます。
一度もフルモデルチェンジなし!専門店があるほど根強い人気
ラシーンが販売されていたのは、1994年から2000年までです。これを長いと見るか短いと見るかは人によりますが、「たったの6年間?」と感じる人が多いのではないでしょうか?もっと長く販売されていたような、それくらい、印象に残る車だったわけです。
販売されていた6年間のうち、マイナーチェンジは1997年の一度きりで、フルモデルチェンジは一度も行われていません。巷には「ラシーン専門店」を掲げる中古車販売店もあるなど、とにかく未だに根強い人気を維持している車なのです。
さて、そんなラシーンの特徴ですが、テールゲートは上下開き、後方にはスペアタイヤを搭載しているなど、ありそうでなかったスタイルが話題となりました。また、全体的に角ばったデザインになっており、かつ、高さを抑えている点が強烈なインパクトとして残っている人も多いでしょう。パジェロなどジープタイプの車を「ギュッと」コンパクトにしたような、そんな印象を受けます。
ただし、一見、クロスカントリー風の車に思えるかもしれませんが、それは日産の“遊び心”“卓越したデザインのセンス”であり、決して悪路を走行することが目的で開発された車ではありません。
そして、ラシーンといえば「ドラえもんブルー」が真っ先に思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか?
実は、トヨタ・プリウスなどよりも先に、ドラえもんをCMに起用したのも、ラシーンでした。当時のキャッチコピーは「僕たちのどこでもドア・ラシーン、発進」というもので、CM中にドラえもんがたびたび登場するなど、演出も凝ったものでした。
そのドラえもんブルーに塗られたラシーンは、現在の中古車市場でも高い人気をキープしています。
このように、ラシーンには「ありそうでなかった」さまざまな魅力がたくさん詰まっているのです。
マイナーチェンジ後は安全性能も向上!新たなモデルの追加も
ラシーンは、発売から3年後の1997年にマイナーチェンジされるわけですが、このとき行われたのは、外装では「フロントグリル」のデザイン変更(横ラインから縦ラインへ)、フロントバンパー部分の取り付けられたターンシグナル(方向指示器)のレンズがオレンジからクリアーへ、といった程度です。
大きく向上されたのは安全装備の面で、それまで特別仕様車等に限定されていた「ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)」を標準装備したほか、運転席と助手席にエアバッグを装備する「デュアルエアバッグ」も標準装備となりました。
そしてもう一つ、マイナーチェンジのタイミングで新たに追加された1.8Lモデル「ラシーンft」シリーズにも触れておかなければならないでしょう。
「ラシーンft」には「ATTESA(アテーサ)」と呼ばれる4WDシステムが搭載されています。ATTESAとは、日産が開発した4WDシステムで、ビスカスカップリング付きのセンターデフ方式が採用されているタイプのものです。
当時の一般的なパートタイム4WDでは、4WDモードで走行中に前後輪の間で回転差が生じた際、その差を吸収できず、急旋回などをした場合にピッチングを起こすリスクを抱えていました。
この回転差を吸収するために開発されたのがビスカスカップリング付きのセンターデフ方式、つまりATTESAだったわけです。これにより、走行性能・走破性能といった性能が大きく向上します。
そうした背景もあり、1.8Lモデル「ラシーンft」シリーズは、人気のモデルとなっていったのです。ちなみに、発売当初のラシーンは全車、センターデフの代わりにビスカスカップリング方式を採用したフルタイム4WDです。
ラシーンのスペックなど基本情報
初代(マイナーチェンジ前)のラシーン
排気量 | 1497cc |
最高出力 | 105馬力 |
エンジン | 直列4気筒型DOHC(GA15DE型) |
トランスミッション | 4速AT / 5速MT |
マイナーチェンジで登場したラシーンft
排気量 | 1833cc |
最高出力 | 125馬力 |
エンジン | 直列4気筒型DOHC(SR18DE型) |
トランスミッション | 4速AT |
基本スペックはこのようになります。その他、共通するスペックは次の通りです。
ボディタイプ | 5ドア・クロスオーバーSUV |
乗車定員 | 5名 |
サイズ | 全長3980mm / 全幅1695mm / 全高1450mm |
ホイールベース | 2430mm |
車両重量 | 1160kg |
そして、忘れてはいけないのが1998年に登場した「ラシーンフォルザ」です。1.8Lの「ラシーンft」同様にATTESAを搭載したモデルで、エンジンは2.0L(SR20RD型)のみ、トランスミッションは4速ATのみという設定でした。
また、ラシーンフォルザでは寸法がひと回り大きくなっており「全長4175mm / 全幅1720mm / 全高1515mm」に変更されています。これにより全幅が1700mmを超えたため、5ナンバーから3ナンバーへと変更になっています。
ラシーンの中古車価格
販売終了からすでに19年が経過しているにも関わらず、未だに根強い人気を維持し続けているラシーン、実はイギリス、北米、オーストラリア、台湾といった海外諸国でも人気の車種です。
そんなラシーンの総生産台数は72,793台、単純計算で年間1万台超、生産されていたということになりますね。
人気車種ゆえに中古車価格も高騰しているのでは…?と思いきや、意外とそうでもなさそうです。
2019年6月の執筆時点での情報になりますが、中古車市場にはおよそ170台のラシーンの中古車がラインナップされていました。価格帯は10万円〜150万円程度、平均相場は55万円前後となっています。
意外と安定していると思いませんか?
一般的に、中古車、とりわけ生産中止となった中古車は、メーカーが抱えている部品の在庫がなくなり次第、部品の供給が終了します。ところが、専門店があることなどからも分かるように、日産もラシーンが未だに人気があるということを把握しています。
そのため、ディーラーなどで相談すると、なんと部品を製造してくれるケースがあるそうです。このように、未だに部品の供給が続いていることから、中古車価格も安定して推移しているということです。
部品の供給が続いているということは、その分、コンディションが良い中古車に出会える可能性も高くなります。走行距離2万キロ台でも150万円前後といったように、かなり入手しやすい価格帯になっています。
5速MTやワンオーナーなど、すぐに買い手が付いてしまいそうなラシーンも見かけます。ラシーンを狙っている人はぜひ、中古車情報をチェックして運命の一台を探してみてはいかがですか?
日産 ラシーンを中古車で購入する際に気をつけること
日産 ラシーンの中古車を購入する際には、下記のことに注意しましょう。
- リアゲートが正常に開閉するか
- ボディーカラーが色あせていないか
- 内装が好みに合うか
日産 ラシーンのリアゲートは、ドアが上下に分かれた作りになっています。日本でよく見る、上に開けるタイプのリアゲートより少し複雑な構造になっているので、動きがスムーズであるか開閉してみましょう。
背面タイヤが外れて落ちてしまう可能性がないかも、確認しておくと安心です。
また、日産 ラシーンは20年ほどの経年車なため、ボディーカラーが色あせている場合があります。ボンネットやルーフが特に色あせしやすい箇所なので、重点的に見ておきましょう。
前述しましたが、日産 ラシーンはカスタムがしやすい車です。前オーナーがカスタムしている場合もあるので、内装が自分好みであるのかの確認も大切です。
まとめ
かっこよさと可愛らしさを兼ね備えた日産 ラシーンは、年齢や性別にかかわらず愛されている車です。しかしながら、現在は販売が終了しているため、中古車での購入を検討するしかありません。
中古車はそれぞれの車両で状態が異なるので、故障(不具合)のリスクが高いものを選んでしまわないように、今回お伝えしたポイントを参考に、すてきなカーライフが送れる日産 ラシーンを選択してください。