英国生まれのオフロード車が有名なランドローバーから発売されているディフェンダーは、ゴツゴツしたデザインでこれぞ四駆といった印象ですよね。現在は一時的に生産中止となっており、復活を希望する声も少なくありません。そんなランドローバー ディフェンダーはその風貌から故障にも強い印象がありますが、実際のところどうなのでしょうか?今回は、ランドローバー ディフェンダーの故障(不具合)や修理費用、リコール情報などを交えて解説します。
目次
ランドローバー ディフェンダーは故障(不具合)が多いのか?
ランドローバー ディフェンダーに関する故障(不具合)の声
30代/男性
フューエルブロックコネクタからの燃料漏れやパワステフルード漏れなどがありました。知人から経年劣化による故障も起こると言われ、これから先もメンテナンスをしっかりしていかなくては……。
40代/男性
ウインカーレバーの故障、ATF漏れなど細かい故障というかトラブルはありますが、大きな故障は経験していません。
50代/男性
ディフェンダーを乗り継ぎ10年以上が経ちました。最高にいい車ですね。ただ、経年劣化による冷却水漏れやエンジンオイル漏れなどの故障がありました。そのほか、細々した故障はありますが、大きな故障もなく、快適な走りをしてくれます。
20代/男性
故障というか雪国のせいですが……エンジンの回転数が上がらなかった経験があります。すぐに整備士を呼んでみてもらったところ、エンジンルームに雪が入ったことが原因のようでした。雪が解ければエンジンも元通りだったのでよかったです。
30代/男性
まだまだ納車されたばかりなので故障しないと信じていますが、雨漏りは故障になるのでしょうか。ドバドバと雨漏りがあるわけではないので様子を見ようと思いますが、何か対策があれば……。
20代/男性
2日前くらいからエアコンが故障している模様。真夏にエアコンの故障はやめてほしい(笑)早いところ修理に持っていく予定ですが、いくらくらいになるのかな~
ランドローバー ディフェンダーの故障(不具合)が多い箇所
前でご紹介した通り、ランドローバー ディフェンダーの大きな故障は少ないようです。
しかしながら、工業製品である以上、ランドローバー ディフェンダーに故障(不具合)が起こらないとは断言できません。
ランドローバー ディフェンダーにも故障しやすい箇所というのがありますので、維持していく際は注意してメンテナンスして頂きたいところです。
- パワートレインからの冷却水漏れやその他液体漏れ
- エアコンの故障(不具合)
- パワーウィンドウの故障(不具合)
エアコンやパワーウィンドウなどについては、車両によって装備されているものと、装備されていないものがあります。ランドローバー ディフェンダーの中古車を購入しようと検討している方で、できるだけ故障(不具合)を避けたいという方はエアコンやパワーウィンドウなどの電気系統の装備がない車両にすると良いかもしれませんね。
ランドローバーが発表しているディフェンダーに関する故障・不具合・リコール情報
制動装置(ABS)、緩衝装置(アンチロールシステム)、原動機(スロットルボディ)に関する不具合(2004年6月24日届)
(1) ABSモジュレータのプレッシャリダクションバルブを留めているプレートの強度が不足しているため、頻繁にABSモジュレータが作動した場合、当該プレートが変形するものがあります。そのため、ブレーキ液が漏れてブレーキの油圧が保持できなくなり、制動力が低下するおそれがあります。
(2)緩衝装置のアンチロールシステムにおいて、油圧ポンプに高圧油圧配管を取付けるためのバンジョボルトの締め付けトルクが不十分なため、走行中の振動等により当該バンジョボルトが緩むものがあります。そのため、作動油が漏れ、最悪の場合、火災に至るおそれがあります。
(3)スロットルボディの加工が不適切なため、内部に取り付けられたスロットルバルブが円滑に作動しないものがあります。そのため、最悪の場合、アクセルペダルを離しても、エンジンの回転が下がらなくなるおそれがあります。
対象車両
(1)のみ
型式 | 車台番号 |
---|---|
KG-LD25(ディフェンダー110) | SALLDBMJ72A643294~SALLDBMJ72A627070(平成14年1月8日~平成14年10月1日) |
SALLDHMJ73A654540~SALLDHMJ74A671157(平成15年7月14日~平成16年1月27日) | |
KG-LD25P(ディフェンダー110 DCPU) | SALLDHF871A621107~SALLDHF871A621314(平成14年11月27日~平成14年11月27日) |
SALLDBFJ72A627573~SALLDBFJ72A642786(平成14年1月8日~平成14年10月1日) |
ランドローバー ディフェンダー各部品の修理費用
ここでは、ランドローバー ディフェンダーが故障(不具合)した際の、各部品の修理費用の相場をご紹介いたします。
故障個所 | 費用 |
---|---|
クーラーの故障 | ガス漏れの場合:1万円~2万円前後 |
エンジン不調 | エアフローセンサー交換の場合:数万円程度 |
オドメーターの故障(不具合) | 10万円前後 |
液体漏れ | シール交換の場合 数千円程度 |
また、ランドローバー ディフェンダーは走行距離が8万キロ前後でタイミングベルトの交換が発生します。故障ではありませんが、タイミングベルトの交換は20万円前後かかりますので、念頭に置いておきましょう。
経年劣化からくる故障(不具合)であれば、日々のメンテナンスをしっかりしておくことで防げます。定期点検などのタイミングで部品交換の必要がないか整備士と相談しながらメンテナンスしておいてください。
ランドローバー ディフェンダーオーナーの評判
外車は故障が多いという印象を持っている方が多い中、ランドローバー ディフェンダーは比較的故障が少なく、維持しやすい車という印象があります。
では、実際にランドローバー ディフェンダーを所有しているオーナーの評判はどうなのでしょうか。ポジティブな意見とネガティブな意見に分けてご紹介します。
まずはポジティブな意見からご覧ください。
- タイトなシートが体にフィットする
- 不満を帳消しにするほどのルックス
- 積載性が非常に抜群!
- 不便なことは多いが逆にそれがいい!
- ワクワク感が味わえる車
- 外見に似合わず街乗りや高速も非常に扱いやすい
- 飽きがこないデザイン
- 希少性が高い
次はネガティブな意見です。
- 雨漏りがする
- ドリンクホルダーが少ない
- 整備できる工場が少ない
中には、「レッカー車に乗っていてもかっこいい!」とランドローバー ディフェンダーをこよなく愛しているオーナーもいらっしゃいました。このように、多少のトラブルや故障(不具合)があったとしても、ランドローバー ディフェンダーには人の心をひきつける魅力があると言えます。
ランドローバー ディフェンダーとはどんな車?
ランドローバー ディフェンダーはイギリスの自動車メーカー、ジャガーランドローバー社が製造・販売していた車です。ディフェンダーは1948年から製造されていたランドローバーシリーズの流れを汲んだ車で、ディフェンダーという名称は1990年からランドローバー シリーズ3がマイナーチェンジしたものに使われるようになりました。
1990年以来、何度かのマイナーチェンジをしながら2016年まで販売していましたが、「衝突安全基準や排ガス規制に対応することが難しくなった」という理由から一現在は一旦製造が中止されています。
日本では1997年以降に販売開始され、その後2005年まで正規輸入されていました。そのため、現在でも中古車屋でかなり古い年式のディフェンダーを見ることができます。また中古車では正規輸入していた時期以外の年式の車も結構ありますが、これは並行輸入で入ってきたものと思われます。
ほとんど姿が変わらないSUVの傑作モデル
ディフェンダーは、1948年のランドローバーシリーズの時代からほとんど姿形を変えることなく、生産終了まで販売されていました。ほとんどの車が時代に合わせてどんどんフルモデルチェンジを繰り返していくのとは対照的で、ずっと変わらない見た目はそれだけで存在感を感じます。
特に昔ながらの無骨なSUVが好きな人にとっては、これ以上ないカッコよさを感じるのではないでしょうか。元々デザインを追及して作ったものではなく、機能性だけを追い求めていたら、長年色褪せない形になったというのも良いですよね。
軍用車としても利用されている
ディフェンダーはラダーフレームのシャーシとアルミニウムボディで作られており、どんな道でも走れる走破性と頑丈ささから軍用車・警察車としても使用されています。
またディフェンダーをベースに軍事用車として作った姉妹車「ランドローバー ウルフ」という車もあり、イギリス陸軍で主力汎用トラックとなっている他、オランダ軍などでも使用されています。
ディフェンダーは単純なボディの硬さや壊れにくさだけが評価されている訳ではありません。最近の車のような機械制御をあえて少なくしてシンプルに作ることで、メンテナンス性を上げ、簡単に直せる構造にしています。この簡単に直せる部分も含めてタフな車だとされているので、自分で車をいじりができる人にこそ最適な車かもしれません。
実用性を考えると乗りにくい車
ディフェンダーは走破性能は高い車ですが、日本での一般的な街乗りにはあまり向いていない車です。最近の至れり尽くせりの日本車から乗り換えるには、ある程度の覚悟が必要でしょう。
乗り心地は快適とは言いづらく、当たり前となっている機能・安全装備が付いていない、日本の道を運転しにくいなど欠点を探せばいくらでもあります。それでも無骨なデザインに惚れ、「不便でも良いから乗りたい」いう方が選ぶマニア向けの車です。
ランドローバー ディフェンダーのグレードとスペック
ディフェンダーは1990年以降、伝統的に90・110という2種類のモデルがあります。この90、110はホイールベースの長さに由来してつけられており、90は93インチ、110は110インチのホイールベースのサイズが違う車となっています。
最も一般的なボディは90が3ドア、110が5ドアのステーションワゴンタイプです。また、日本で正規販売はされていないですが、それ以外にもピックアップという荷台が付いたタイプやハードトップという荷台に屋根が付いたタイプもあります。
ディフェンダーとして26年の長い歴史がある中で、何度かマイナーチェンジが施されており、エンジンやトランスミッション、内装はその都度大きく変化しています。ただ、変化のスピードは他の車に比べて遅く、2007年のマイナーチェンジまではエアコンがないなど不便な部分が多くありました(日本へ正規輸入されたものに関しては後付けのエアコンがつけられていました)。
日本に正規輸入されていたグレードは以下のようなものがあります。
- ディフェンダー 90
- ディフェンダー 90SW 50周年記念モデル
- ディフェンダー 110SW
- ディフェンダー ブラック
- ディフェンダー 110SE
- ディフェンダー 110S
それぞれエンジンなどの違いがあり、スペックは異なりますが、ここではディフェンダー110SEのスペックを紹介します。
サイズ | 4,565 × 1,785 × 2,070mm |
ホイールベース | 2,795mm |
車両重量 | 1,990kg |
乗車定員 | 5人 |
ボディ | 5ドアステーションワゴン |
エンジン | 1Td5型 直列5気筒ディーゼルエンジン |
駆動方式 | 4WD |
最高出力 | 90KW(122PS)/4,200rpm |
最大トルク | 300N・m(30.60kgf・m)/1,950rpm |
変速機 | 5速MT |
ランドローバー ディフェンダーの新車・中古車価格
現在、ディフェンダーの新車販売は行われていませんが、2020年までの発表を目標に新型ディフェンダーが開発中です。もしどうしてもディフェンダーの新車が欲しい場合はこの新型の発売を楽しみに待つといいでしょう。
一方、中古車では日本で正規輸入されていた時代のものと同時に、並行輸入で入ってきたと思われるものも数多く見かけます。執筆時点での中古車は77件あり、平均価格は422.3万円となっています。新車販売時の価格が446万円から470万円だったことを考えると新車時からほぼ値下がりしていないことになります(並行輸入品の場合、それ以外にも様々な経費がかかっていますが)。
日本で正規輸入していたものは10年以上前になりますが、意外と最近の年式の車も多く出ており、中には販売終了後に限定で復活した2018年式まであります。こういった最近の年式のディフェンダーは新車を購入するよりも圧倒的に高い1,000万円前後という価格で販売されています。
2012年のマイナーチェンジ以前のものについても300万円から600万円くらいが相場となっており、かなり古いものでも極端な値下がりはしていません。決して高級車のような豪華装備がついた車ではないですが、他にない代わるものがないマニア向けの車は根強い人気があるのでしょう。
ランドローバー ディフェンダーを中古車で購入する際に気をつけること
前述した通り、ランドローバー ディフェンダーは中古車価格であっても300万~600万円程の値が付いています。一般的な高級車と同等の価格くらいありますが、ランドローバー ディフェンダーはオフロード性能の高さがこの価格帯につながっていますので、価格が高いイコール状態が良いわけではないことは念頭に置いてください。
その他、ランドローバー ディフェンダーの中古車を購入する際の注意点は以下の通りです。
- 各部品が劣化やシールがはがれていないか
- エンジンから異音がしないか
- 自宅近くに修理を請け負ってくれるショップがあるか
オーナーのネガティブな意見でも上がっている通り、修理を請け負ってくれるショップが少ないことが懸念されます。
購入を検討する前に、事前に下調べをし、工賃を含めたうえで修理を依頼できる工場があるかどうかを確認しておきましょう。
まとめ
クラシカルなデザインで、オフロード性能抜群のランドローバー ディフェンダーの故障や不具合について解説してきました。
スタイリッシュなデザインが流行している近年ですが、その中でもクラシカルなデザインを守り続け、これぞオフロード車!と言える魅力たっぷりの車両です。
一度、乗り心地を味わえばその虜になること間違いなしです。
ぜひ、ランドローバー ディフェンダーの購入を検討してみてはいかがでしょうか。
これまでに体験したことのない乗り心地を味わえるかもしれません。