フェラーリの伝統を引き継ぎつつ、先進性も取り入れて仕上げられた“612 スカリエッティ”は、随所に洗礼されたデザインがちりばめられ、多くの人を魅了しました。中古車もわずかな台数しかないほど、一度ほれ込んだら最後まで乗り続けたいという方が多いです。今回は、そんなフェラーリ 612 スカリエッティの故障(不具合)について迫ります。
目次
フェラーリ 612 スカリエッティは故障(不具合)が多いのか?
フェラーリ 612 スカリエッティに関する故障(不具合)の声
50代/男性
エンジンには要注意ですね。チェックランプがすべてつくのを待ってから掛けないと大変なことになります。
故障ではありませんが、渋滞時などストップ&ゴーが続くと警告音が鳴り響き、1速に入りづらくなりますね。連休などは故障と隣り合わせ(笑)
5年程612 スカリエッティを所有していますが、未だにエンジンが故障しないか毎回ドキドキ(笑)エンジンの故障はこれまでに経験はないですが、エアコンの故障がありましたね。
家族で乗りたいと思い、4人乗れる612 スカリエッティにしましたが、何年乗り続けても色褪せないですね。ただ、エアコンの故障やオルタネーターの故障があり、エンジンもそろそろ故障しそうな感じです。
エンジンやエアコンの故障はちらほら聞いていましたが、うちの最初の故障?は燃料ポンプ上部からの燃料漏れでした。とにかく臭い(笑)燃料漏れのトラブルは怖いので、点検回数を増やすつもりです。
フェラーリ 612 スカリエッティの故障が多い箇所
イタリア車は何かと故障(不具合)が多いと言われており、フェラーリも例外ではありません。しかしながら、フェラーリに限らず、工業製品である以上、車両に故障や不具合が生じることは少なからずあります。
フェラーリ 612 スカリエッティにおける故障(不具合)しやすい箇所には、以下のような箇所が挙げられます。
- エアコンの故障(不具合)
- エンジンの故障(不具合)
- オルタネーターの不具合
フェラーリが発表している612 スカリエッティに関する故障・不具合・リコール情報
クラッチに関する不具合(2008年11月7日届)
動力伝達装置の半自動変速機に備えられている、クラッチ位置を検出するセンサーにおいて、耐熱性が不足しているため、当該センサー付近の温度が上昇するとクラッチの位置検出が出来なくなる場合がある。そのため、クラッチが作動しなくなり、変速不能となるおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
GH-F612(F612 スカリティF1) | ZFFAY54J000138358 ~ ZFFAY54J000153022 |
ABA-F612(F612 スカリティF1) | ZFFJY54J000153413 ~ ZFFJY54J000156774 |
配線に関する不具合(2005年9月9日届)
発電機の電気配線の固定方法が不適切なため、原動機等の振動により当該電気配線の分岐部付近の配線が相互に干渉し、被覆がはがれることがある。そのため、そのままの状態で使用を続けると、当該配線が短絡して焼損し、最悪の場合、火災に至るおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
GH-F612(612スカリエッティ) | ZFFAY54J000137442 ~ ZFFAY54J000139164 |
フェラーリ 612 スカリエッティ各部品の修理費用
ここでは、フェラーリ 612 スカリエッティの各部品の修理費用の相場をご紹介いたします。
故障(不具合)箇所 | 費用 |
---|---|
エアコンの故障 | 社外品を使用しても30万円以上 |
オルタネーターの故障 | 社外品を使用しても20万円以上 |
上記はあくまでも各箇所が故障した時の部品代となっており、その費用プラス工賃が必要となります。
故障(不具合)箇所によっては、数十万の工賃が発生する場合もあるため、フェラーリ 612 スカリエッティが故障した際は少なくとも50万円以上かかることは覚悟しておいた方がよいでしょう。
また、部品交換をする場合、純正の新品部品で交換するとより多額の必要が必要となります。少しでも費用を抑えたい場合は、リペア部品や中古部品、リプロ部品、社外品などを適宜利用してみてください。
以前は、故障(不具合)も多かったと言われるフェラーリ車ですが、比較的新しい型であれば、日々のメンテナンスや点検である程度の大きな故障(不具合)を防ぐことはできるでしょう。
フェラーリ 612 スカリエッティオーナーの評判
ここまで、フェラーリ 612 スカリエッティの故障(不具合)やリコール情報などについて解説してきましたが、どの車においても精密機器である以上、故障は免れません。
また、車の乗り方や保管状況、環境によっても故障の有無は大きく変わってきます。故障(不具合)の差は異なりますが、生産終了となった今でも、フェラーリ 612 スカリエッティに乗り続けるオーナーも多くいます。
では、そんなフェラーリ 612 スカリエッティを所有するオーナーからみた評判はどうなのでしょうか?
ポジティブな評判、ネガティブな評判と分けてご紹介します。
ポジティブな評判
- V12 フェラーリサウンドは再考!
- 穏やかに走らせてもストレスフリー
- 重さを感じさせない走り
- 座り心地がいい
- 大きなリアトランクで積載性も問題なし
- さすがフェラーリ!という優越感に浸れる
- 優雅さを感じるデザイン
- 女性にも扱いやすい
ネガティブな評判
- ボディサイズと車高の低さで駐車場を選ばなければならない
- セキュリティのせいでバッテリーが消耗される
- 故障した際の修理費用が怖い
- ノッキングが若干あるため、子供とかはあまり載せられないかも
フェラーリ 612 スカリエッティとはどんな車?
612スカリエッティは2004年〜2011年にかけて、イタリアの有名自動車メーカー、フェラーリが製造していた2ドア・クーペです。
「スカリエッティ」の名は、1950年代〜60年代にかけてフェラーリの傑作とも言えるボディを構築したカロッツェリアのオーナーである「セルジオ・スカリエッティ」に敬意を表して名付けられたというのは有名な話です。
612 スカリエッティは、これまでのフェラーリの伝統である「2+2」シーターを継承しつつ先進性を採用した6L・V型12気筒エンジン搭載のグランドツアラー(GT=グランツーリスモ)です。ちなみに車名の612は「6L」のエンジンと「12」の気筒数から来ています。
カロッツェリア・ピニンファリーナが手がけた、伸びやかでありながら力強いボンネットからのライン、そしてボディサイドの美しく優雅な“くびれ”は、見るからに「ダイナミズム」や「パワー」を感じさせる一台に仕上がっています。
ピニファンリーナは、ロベルト・ロッセリーニ(映画監督)がイングリッド・バーグマン(女優)に贈ったとされる「フェラーリ375MM」のサイドラインの面影を再現したとも言われています。
なお、フェラーリ 612 スカリエッティのオーナーは先進的な触感を実現したアルミ素材と、すべてを手作業によって仕上げたフルグレーン・レザートリムとの組み合わせを、好みに応じて選び、オーダーできる仕組みになっています。
そんな、男なら一度は乗ってみたい「612スカリエッティ」の魅力や特徴、基本スペック、中古車価格などをご紹介します。
“跳ね馬”にふさわしいエンジン機構
612スカリエッティのエンジンは、同じくフェラーリのGT「575M」で採用された、排気量5748cc、V1248バルブのティーポ133型です(しかも547馬力!)。
エンジンを低い位置に搭載することで重心位置が下がり、かつ全体の重量配分が適正化されてより安定した走りが可能となっています。
トランスミッションは従来の6速MTに加えて「6速セミオートマチックトランスミッション=F1マチック」が設定されています(ただし日本仕様は6速F1マチックのみとなります)。
トランスミッションそのものはMTと共通であるものの、油圧によってギア操作・クラッチ操作を自動操作できるものとなっています。
また、そのトランスミッションにはトランスアクスル方式を採用しており、612スカリエッティではリアにマウントしたギアボックスにはデフを、最終駆動にはベベルギアを使用し、リミテッドスリップデフと一体となっています。
さらに、トランスアクスルを後方にレイアウトすることによって「前46:後54」という重量分配を実現しました。つまり、エンジンはフロントにありながら、かつ4シーターでありながら、後方の方が重いという重量比重に仕上げたのです。
インテリアも洗練されている
フェラーリ 612 スカリエッティを見ると、どうしてもエクステリアやエンジン・トランスミッション機構に目がいってしまいますが、実は洗練されたインテリアや各機能も見逃せないポイントです。
クーペとは思えないほどキャビンが広めに設計されており「4つ」のシートがしっかりと据え置かれています。フロントシートには、スイッチひとつで前方にスライドし、背もたれが倒れるのと同時にステアリングが傾くという「イージーエントリーシステム」を採用しているのも特徴です。
そのシートやインテリアに使われているのはナチュラルなフルグレーンレザーです。柔らかく滑らかな、そして自然な手触りを味わわせてくれます。特殊加工が施されていますので、柔軟性もあるなど「長距離ドライブ・シティーユースいずれにも適した万能性」を目指したフェラーリのこだわりを垣間見ることができます。
また、ダッシュボードパネルはスポーティーさを演出する「ライトアルミ」のほか「磨きだしアルミ」「最高級レザー」という3種類から、好みに合わせて選ぶことができます。
同じように、シートやドアパネルも“スポーティー”“ラグジュアリー”どちらを好むかで素材を選んでいくことができます。
こうした細部を好みに応じて選択していけることも、612スカリエッティの魅力です。例えば、ダッシュパネル、エアベントクラスター、クライミットコントロールレバー、調光式ルーフ室内灯、F1Aギアパドル、ペダル、フットレストなどに使えば、一気にゴージャスな車内空間を演出することが可能になります。
“跳ね馬”な走りはもちろん、インテリアや素材、各機能など細部にも強いこだわりがあるのが612スカリエッティであり、その魅力となっているのです。
フェラーリ 612 スカリエッティのスペックなど基本情報
6L・V型12気筒エンジン搭載の612スカリエッティ、基本的なスペックは次の通りです。
サイズ | 全長4902mm / 全幅1957mm / 全高1344mm |
ホイールベース | 2950mm |
トレッド | 前1688mm / 後1641mm |
総重量 | 4134ポンド=およそ1875kg |
排気量 | 350.8 cu in=およそ5750cc |
最大出力 | 397kW(540 CV)at 7250rpm |
最大トルク | 588Nm(434 lbft)at 5250rpm |
トランスミッション | F1A前進6段+後進1段 |
最高速度 | 199 mph=およそ320km/h(0-100km/h:4秒) |
目を引くのは最高時速320km/h、そして100km/hまでの加速がわずか4秒という、想像するだけでワクワクしてくる圧倒的なハイパフォーマンスではないでしょうか?
そんなフェラーリ 612 スカリエッティでは、マニュアルギアボックスと平行して、電子制御による油圧作動のF1Aギアボックスを採用しているのも大きな特徴になっています。
F1Aと言えば、今ではすっかりフェラーリにとって「定番化」されていますが、フェラーリによれば、その中でもフェラーリ 612 スカリエッティには“究極”とも呼べるF1Aを採用しているとのことです。
F1スーパーファストのギアチェンジロックは、ハイスピードドライブに設定した場合、シフト完了までの所要時間がわずか100分の1秒で行えるというから驚きです。
また車両総重量もおよそ1875kgに抑えられていることに気づくと思います。実は、これは612スカリエッティが12気筒フェラーリ初となる「すべてアルミで造られている」ことに起因します。結果、軽量化と高剛性を両立させることとなりました。
「すべてアルミによる製造」はフェラーリにとってはいささか大胆な決断だったようですが、今にしてみれば612スカリエッティの設計としっかりマッチした素材だったことが証明されたようなものです。
612スカリエッティは、従来のフェラーリの伝統を引き継ぎながら、先進性を融合させた、見事な一台と言えるでしょう。
フェラーリ 612 スカリエッティの中古車価格
想像に難しくないと思いますが、やはり612スカリエッティは中古車市場にはほとんど流通していません。2019年5月時点では、わずか10〜15台ほどしか確認できませんでした。
当然と言えばそれまでですが、その10〜15台、とても気になりますよね。2004年〜2014年モデル、走行距離は1000kmに満たないものから7万km超えまで幅広く、ワンオーナー車はほとんど(執筆時点で1台しか)ありませんでした。
そんなフェラーリ 612 スカリエッティの中古車価格は640万円〜1300万円程度、平均相場は850万円程度となっています。新車価格で2890万円〜3700万円程度(日本仕様の6速F1マチックは3660万円)であることを考えると、かなり「お買い得」になっていると言えるのではないでしょうか?
もちろん、フェラーリ 612 スカリエッティに乗るくらいですから車への愛情は持ち合わせているオーナーが多いはずですから、コンディションは良好な中古車が多いでしょう。
あらゆる道路の状況下でも最高のドライビング・エクスペリエンスを与えてくれる612スカリエッティ、試乗してみるだけでも、これまでの価値観が覆されそうな期待感を抱かせてくれます。台数は少ないですが、その分、じっくり選ぶことができますので、ぜひ中古車情報サイトでチェックしてみてはいかがでしょうか?
フェラーリ 612 スカリエッティを中古車で購入する際に気をつけること
フェラーリ 612 スカリエッティの中古車相場については前述しましたが、フェラーリ車とは思えないほどの価格で購入することができるため、「このくらいの価格なら・・・」と中古車での購入を検討している方も少なくありません。
しかしながら、フェラーリ車であることは間違いありませんから、その後の修理や維持費についてはしっかりと考えておく必要があります。
また、中古車を購入する際は、以下の点に注意しておきたいところです。
- センサー等が正常に動くか
- リコール対応がされているか
- 劣化している部品がないか、交換されているか
- 中古車販売店の保証はあるか
車体のゆがみやへこみ、汚れや傷を確認することはもちろん、上記のポイントもしっかり確認しておきましょう。
また、フェラーリ 612 スカリエッティの中古車を購入する際は、安心・信頼のできる中古車販売店から購入するようにしてください。
故障や不具合、その他トラブルが生じた場合に、何も保証がなかった、事前に聞かされていなかったという事態が起きないように十分に対策しておくことが大切です。
まとめ
今回は、フェラーリ 612 スカリエッティの故障(不具合)やリコール情報などについて解説してきました。
誰もが憧れるフェラーリ車でありながら、日本では不人気と言われることも多い612 スカリエッティですが、不人気説が不思議なほど魅力のある車両であることは間違いありません。
一生に一度はフェラーリの味を・・・。ぜひ購入を検討してみてはいかがでしょうか。