車好きやスポーツカー好きの方はフェラーリを所有することを憧れている方も多いのではないでしょうか。今回はフェラーリから販売されていたF355の故障(不具合)について迫ります。併せてリコール情報やフェラーリ F355を中古車で購入する場合の注意点などについても解説します。F355の購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
フェラーリ F355は故障が多いのか?
フェラーリ F355に関する故障(不具合)の声
40代/男性
故障というまではないですが、室内LEDが消灯しないです。セキュリティアラームのバッテリーが切れていることが原因のようですが。
50代/男性
購入後すぐにバッテリーが逝ってしまいました。エンジンの吹ける音が悪くなりましたが、リセットして元通りです。
40代/男性
パワーウィンドウのスイッチが落ちたり、電気系統が弱い印象です。
30代/男性
念願のフェラーリを所有し、喜びに満ちていましたが・・・F1マチック搭載モデルだからかクラッチが故障したり、エアコンが壊れたり、エキマニが割れるたり、たびたび何かが壊れます。大きな出費であることは間違いありませんが、出来る限り所有しておきたいです。
50代/男性
先日トランクを開けた際、水が溜まっていることが判明!何事かと思い、すぐに向上に持っていたところ、よくある故障のようでヒーターバルブからクーラントが漏れていたようです。
フェラーリ F355の故障(不具合)が多い箇所
90年代以前のフェラーリ車は故障が多く、維持費がかかるイメージがありましたが、90年以降は故障の事例も少なくなり、フェラーリ=故障(不具合)しやすい車であるイメージはありません。
工業製品である以上、フェラーリ F355が全く壊れないことはありえませんし、経年劣化から起こる故障や不具合も増えうる可能性があります。
特にフェラーリ F355は販売時期から年数が経っていたとしても、色褪せることなく色気のある車両であり、経年劣化を感じさせませんが、フェラーリ F355にも故障しやすい箇所というのがいくつかあり、次の様な部品は比較的故障が多いため注意が必要です。
- エアコンの故障(不具合)
- クーラント漏れ
- クラッチの故障(不具合)
- パワーウィンドウの故障(不具合)
- 電気系統の不具合や故障
フェラーリが発表しているF355に関する故障・不具合・リコール情報
燃料装置(燃料パイプ)に関する不具合
①エンジンルーム内において、燃料パイプと冷却水ホースのクランプの間隙が不足しているため、走行中の振動等により燃料パイプが当該クランプに干渉する場合がある。そのため、燃料パイプが損傷し、最悪の場合、燃料が漏れ、排気管等にかかり、火災に至るおそれがある。
②燃料パイプ接続部の強度が不足しているため、規定トルク以上で当該接続部を締め付けると、亀裂が発生することがある。そのため、燃料パイプ接続部が損傷し、最悪の場合、燃料が漏れ、排気管等にかかり火災に至るおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
E-F355B(F355 ベルリネッタ /F355GTS) | ZFFPR41JPN0102414~ ZFFXR42JPN0114758(平成 7 年 7 月 3 日~平成 11 年 12 月 15 日) |
E-F355S(F355スパイダー) | ZFFPR48JPN0102609~ZFFXR48JPN0116419(平成 7 年 9 月 8 日~平成 11 年 10 月 7 日) |
フェラーリ F355各部品の修理費用
ここでは、フェラーリ F355の各部品の修理費用の相場をご紹介いたします。
故障個所 | 費用 |
---|---|
エアコンの故障(不具合) | 20万円前後~ |
クーラント漏れ | 15万円~20万円程度 |
クラッチの故障 | 20万円前後 |
バルブクラッシュ | 数百万円程度 |
マフラー関係のセンサー異常など | 5~10万円前後 |
ラジエーターの故障 | 10万円前後~ |
このほか、定期的なメンテナンスとしてオイル交換(オイルの銘柄によっては2~3万円前後)やタイミングベルトの交換(20万円~25万円、エンジンおろしの場合は50~80万円)、走行距離が長い場合はサスペンションブッシュの交換(20万円前後)などの出費があることを考えておきましょう。
フェラーリ F355オーナーの評判
では、実際にフェラーリ F355を所有しているオーナーからみた印象や評判はどうなのでしょうか。
ポジティブな口コミとネガティブな口コミに分けてご紹介します。
まずは、ポジティブな口コミです。
- 乗っているだけで非日常の世界を味わえる
- イタリアンなデザインが随所にちりばめられている
- ステアリングやクラッチが軽い
- 視界が広い
- 音が最高!
- 全てにおいて五感を刺激される
- 鑑賞するだけでも満足
- シックなインテリアがいい
- 計器類のクラシカルな感じがいい
次にネガティブな口コミをご紹介します。
- 電気系統が弱い
- 冷却性能が悪い印象がある
- 部品調達が大変
- 純正パーツが高い
故障や不具合、純正パーツの高騰などフェラーリ F355にネガティブな意見を述べていますが、それ以上に車両の良さ、フェラーリを所有する喜びの方が勝るようです。
フェラーリ F355とはどんな車?
F355はイタリアの自動車会社フェラーリが1994年から1999年まで製造・販売していたスポーツカーです。ボディタイプは3種類あります。
フェラーリ F355はV8エンジンを搭載した車でフェラーリ348の後継モデルとして登場しました。単なるマイナーチェンジの車種ではなく、エクステリアやエンジン、シャーシ、サスペンション、ギアボックスなどは新たに開発されたものが使われ、348から様々な部分で進化しています。
「F355」という車名は排気量約3,500cc、5バルブのエンジンを搭載していることに由来して名付けられています。デザインも高い評価を受けているF355ですが、これはフェラーリ348と同じくイタリアのピニンファリーナ社が手掛けたものです。
乗りやすいフェラーリへの進化
スーパーカーと言えばそれまで「誰でも乗リこなせる代物ではない」というのが当たり前の認識でした。ハンドルやクラッチペダルは重く、油断すればすぐにエンストしてしまう日常で使うにはあまりに不便な車だったのです。
しかし、F355ではこのようなスーパーカーの使い勝手の悪さを見直し、軽いクラッチやパワーアシスト付きのハンドルを標準搭載し、誰でも乗れるスーパーカーへ進化しました。同時にエクステリアも改良され、運転しやすいシートポジションになったり、エアバッグが標準装備されたり安全面も向上しています。これにより、フェラーリは新たなファン層を獲得することにも成功したそうです。
フェラーリ F355は縦置きエンジンを採用
フェラーリ F355はV8エンジンを車体中央辺りに配置したミッドシップエンジン・リアドライブ方式となっています。これはスポーツカーやレーシングカーに多く採用されている方式です。機敏に走れてコーナリング性能も高いですが、一方でバランスを崩すとスピンしやすいという欠点もあります。
2代前のフェラーリ328まではエンジンを横向きに配置し、その下にトランスミッションを設置するという形を取っていましたが、重いエンジンの重心が高い位置に来るためバランスが悪く、シビアな運転技術を要求されていました。
この配置が見直されたのが、先代の348です。エンジンを縦置きにしてその後ろにトランスミッションを配置することにより、重心が低くなり車の安定性が向上したのです。この配置はF1のレーシングカーでも使われているレイアウトで、フェラーリが長年のレースで培った技術の結晶とも言えます。
現在も「セミクラシック」として人気の車
フェラーリ F355は1999年、後継車のとなる360モデナが発表され、生産・販売を終了しました。現在発売されている488GTBから数えて4代前のモデルとかなり古い車ではありますが、最新のモデルとは違った魅力のある「セミクラシックカー」として現在も根強い人気を誇っています。
人気の秘密は適度なサイズ感やスピード感(現在の488GTBは速すぎて手に負えない、という人もいます)、そして最近の車種とは違った魅力のデザインにあるようです。
フェラーリ F355のグレードとスペック
フェラーリ F355は3種類のボディタイプと2種類のトランスミッションが用意されています。ボディタイプは、ベルリネッタ・GTS・スパイダーの3種類です。
ベルリネッタ
2人乗り2ドアのクーペタイプです。屋根がある分他のボディタイプに比べて剛性があり、サーキットなどで思いっきり走るのにも向いています。日本で流通しているのはほとんどがこのベルリネッタです。
GTS
GTSは2人乗り2ドアのダルガトップ(屋根が取り外しできる)タイプです。屋根は手動での取り外しになります。
スパイダー
スパイダーは2人乗り2ドアのフルオープンカーです。GTSが屋根だけオープンになるのに対し、スパイダーは後方までオープンなので解放感はより大きいです。ただ、雨の多い日本では乗れるタイミングが限られてしまうかもしれません。
トランスミッションには6速ミッションとF1マチックと呼ばれるセミオートマの2種類があります。F1マチックはフェラーリとマニエッティ・マレリが共同開発したセミオートマチック機構ですが、後期型のフェラーリ F355で初めて導入されることになりました。
まとめると、市場に出回っているフェラーリ F3555は大きく分けて以下の6種類があることになります。
- ベルリネッタ MT
- F1 ベルリネッタ AT
- GTS MT
- F1 GTS AT
- スパイダー MT
- F1 スパイダー AT
6つのグレードはボディとトランスミッションの違いのみで、エンジンなどの違いはありません。フェラーリ F355のスペックは以下の通りです。
サイズ | 4,250mm×1,900mm×1,170mm |
ホイールベース | 2,450mm |
車両重量 | 1,440kg |
乗車定員 | 2人 |
ボディ | 2ドア クーペ、2ドア タルガトップ、2ドア スパイダー |
エンジン | 90度 3,495cc V型8気筒DOHC 5バルブ |
駆動方式 | MR |
最高出力 | 380PS/8,200rpm |
最大トルク | 36.7kgf・m/5,800rpm |
変速機 | 6速MT/6速セミAT(F1マチック) |
F355の中古車価格
フェラーリ F355の販売当時の価格は以下のようになっていました。
- ベルリネッタ:1,490万円
- GTS:1,550万円
- スパイダー:1,625万円
さすがフェラーリ、かなり高いですが、驚くべきはそこではありません。現在中古車屋さんで販売しているF255も実はそれほど値下がりしていないのです。現在販売されている中古車のF355は価格が1,000万円前後となっています。20年以上も前の車で、色んなオーナーが乗り継いできた車にも関わらずこの値段です。
これはフェラーリならではの現象ですね。一般的にベンツなどの高級車であっても新車を購入した時点からどんどん値段は下がりますが、フェラーリはあまり値段が下がらず、これを資産として購入する人もいます。
そんなフェラーリの中でもF355は別格で、先代の348の平均中古価格が646万円、後継の360モデナが940万円なのに対し、その間にいるフェラーリ F355は1,027万円と今も最も高額で取引されています。中古車サイト値段を記載せずに応相談となっているお店も多いので、もしも購入を検討しているのであれば、多くのお店を回る必要があるでしょう。
フェラーリ F355を中古車で購入する際に気をつけること
フェラーリ F355を中古車で購入する場合、一般的な中古車を購入する注意点と基本的には変わりありません。
中古車を購入する際の一般的な注意点・確認点
- 車体のゆがみ
- 過去の整備記録の確認
- 傷や汚れなどの確認
- エンジンの状態
- パワーウィンドウの状態
- エンジンに異音がないか
- 走行時に違和感がないか
上記の他に、フェラーリ F355の修理ができる工場が近くにあるかということも重要です。
また、現在フェラーリ F355に使用されている純正パーツが高騰傾向にあります。そのため、年間100万円以上の維持費がかかってしまう可能性がありますので、常に故障した際の費用をどこから工面するのかを考えておいた方がよいでしょう。
なお、定期的にしっかりメンテナンスをしておけば、大きな故障を避けることもできますので、フェラーリ F355の中古車を購入した場合は、メンテナンスや消耗品の交換は常に心掛けておきましょう。
まとめ
人生で一度は乗ってみたいフェラーリ。
そんなフェラーリから販売され、現在も色褪せず人気であるF355。
街中を颯爽と走り抜ける姿を想像しただけでも、夢が膨らみますね。
そんな男のロマンが詰まった1台といえるフェラーリ F355の故障や不具合についてご紹介してきました。
フェラーリ F355 に故障や不具合が生じた際は多額の費用が掛かってしまうことが懸念されますが、しっかりとメンテナンスをしていればサラリーマンでも所有することは夢ではありません。