世界最大のスポーツカーメーカーのポルシェが販売される大型SUVカイエンは、世界中のセレブからの人気も高く、発売から現在まで人気が衰えません。中古車販売市場でも高い人気を誇るカイエンの購入を検討している方も多いのではないでしょうか。今回はそんなカイエンの故障やリコール情報、オーナーの評判など徹底解説します。
目次
カイエンは故障が多いのか?
なめらかで繊細なボディに目を惹かれたという方も多いカイエンを購入する際、どうしても気になることが故障についてです。
輸入車は国産車に比べて故障も多い傾向にあるため、カイエンを購入する前には故障事例や故障しやすい箇所などを把握したうえで慎重に検討したいとことですよね。
カイエンに関する故障の声
50代/男性
妻と遠出をしていたときに、カイエンの調子が悪くなり、最終的に走行不能になってしまいました。馴染みの工場から外出先近くの工場を紹介してもらい、点検してもらったところ、デフオイル?というものが漏れていたようです。定期点検はしていたのですが、もう少し頻繁に点検しておけばよかったと後悔しています。さほど大事にはならなかったので良かったですが……。
60代/男性
カイエンに乗り始めて5年ほどになりますが、未だに毎回ワクワクしています。ただ、先日アクセルを抜いた時にガコンッとした感じがあり、すぐさまディーラーに持っていくとミッションが故障していたようです。酷く故障している場合はかなり費用が掛かるとのことでしたが、3万円ほどで済んだので良かったかなと安心しました。
30代/女性
中古車店でカイエンに一目ぼれをして即決してしまったために、様々な部品の交換時期がすぐにきてしまい、大きな出費となってしまいました……。その後もエアコンコンプレッサーの故障があったり、エンジンオイルが漏れていたりと立て続けに色々とありました。故障に関してはさほど大きな出費にはならずに安心しましたが、この先が少し怖いですね(笑)
40代/男性
以前乗っていた輸入車が故障ばかり続いていたので、購入を迷っていましたが、カイエンのデザインに惹かれて購入を決めました。7年以上経ちますが、頻繁に点検をしていたおかげか大きな故障はこれと言ってありません。この前の点検で少し冷却水漏れがありましたが早期に発見できたため、修理費用も掛からなかったので良かったです。
カイエンの故障が多い箇所
前述ではカイエンの故障についてピックアップしてみましたが、一般的にはカイエンは故障しにくい車として周知されています。
しかし、工業製品である以上、カイエンが全く壊れないという保証はありません。カイエンにも故障しやすい箇所というのがいくつかあり、次の様な部品は比較的故障が多いと言われています。
カイエンの故障しやすい箇所1 カルダンシャフト
プロペラシャフト、ジョイント付きの動力伝動軸であるカルダンシャフトが故障してしまうと、走行中、車体の振動に合わせてゴトゴトといった異音が発生します。車が壊れたと思い込み、乗ることを躊躇してしまう方もいるほどの異音です。
また、低速走行では異音は殆ど発生せず、ある速度を超えると急に異音を発生してしまうようです。
カルダンシャフトの故障やトラブルは走行距離が多い車ほど起こりやすいと言われており、カルダンシャフトのゴムブッシュの劣化が原因と言われています。
基本的にはゴムブッシュの交換で異音はなくなるようですが、劣化を放置してしまうと、カルダンシャフト自体にトラブルが起こってしまう可能性があるため、修理費用も多額になってしまいます。
カイエンの故障しやすい箇所2 冷却水の漏れ
車の様々な部分に流れている冷却水の接続に使用されるゴムホースの劣化により、各所で冷却水が漏れてしまうというトラブルが起きてしまいます。
ゴム製の部品に関しては、定期的に交換をしていなければひび割れたり、硬化したりと劣化が目立つ部分です。漏れている箇所によっては、走行に影響が出る可能性もあります。
カイエンの故障しやすい箇所3 エンジンからのオイル漏れ
カイエンに限らず輸入車には比較的多いエンジンからのオイル漏れですが、エンジンのオイルシール部分からオイルが漏れくるトラブルです。
さほど大きなトラブルとは考えられていませんが、修理をする場合はエンジンを下ろしたり、分解したりといった作業が発生してしまうため、部品代と工賃を含めるとまとまった金額になる傾向があります。
ポルシェが発表しているカイエンに関する故障・不具合・リコール情報
直近から2015年まで遡り、カイエンのリコール情報をご紹介していきます。
燃料装置に不具合(2018年3月30日発表)
内容:
「カイエン」「カイエンS」「カイエン ターボ」「カイエン ターボS」の燃料装置(燃料ポンプフィルターフランジ)に不具合があり、燃料が漏れる恐れがあるとして、国土交通省にリコールを届け出た。燃料装置で、燃料ポンプフィルターフランジの取付位置が不適切なため、当該フランジ部が雨水等の被水により劣化することがある。そのため、フランジ部の強度が低下し、そのままの状態で使用を続けると、燃料の圧力によりフランジ部に亀裂が生じ、亀裂部位から燃料が漏れる恐れがある。これまでに不具合が2件、事故はない。
対象車両:
▽カイエン
型式 | 車体番号 |
---|---|
GH-9PABFD | WP1ZZZ9PZ4LA00791~WP1ZZZ9PZ6LA09173 |
GH-9PABFDA | WP1ZZZ9PZ4LA00994~WP1ZZZ9PZ6LA0896 |
▽カイエンS
型式 | 車体番号 |
---|---|
GH-9PA00 | WP1ZZZ9PZ3LA40786~WP1ZZZ9PZ6LA50309 |
GH-9PA00A | WP1ZZZ9PZ3LA40904~WP1ZZZ9PZ6LA50315 |
▽カイエン ターボ
型式 | 車体番号 |
---|---|
GH-9PA50A | WP1ZZZ9PZ3LA80391~WP1ZZZ9PZ6LA83030 |
▽カイエン ターボS
型式 | 車体番号 |
---|---|
GH-9PA50A | WP1ZZZ9PZ6LA82437~WP1ZZZ9PZ6LA84508 |
制動装置(ブレーキペダル)の不具合(2016年3月30日発表)
内容:
「カイエン」シリーズ12車種の制動装置(ブレーキペダル)に不具合があり、ブレーキが効かなくなる恐れがあるとして、国土交通省にリコールを届け出た。制動装置のブレーキペダルで、ペダルアッセンブリ組立時にブレーキペダルシャフト抜け止めのサークリップが装着されていないものがある。そのままの状態で使用を続けると、ブレーキペダルシャフトがブレーキペダルブラケットから抜け、最悪の場合、ブレーキが効かなくなる恐れがある。これまでに不具合や事故の報告はない。
対象車両:
▽カイエン
型式 ABA-92AM5502 / 車体番号 WP1ZZZ92ZBLA00060~WP1ZZZ92ZELA97875
型式 ABA-92AM5502A / 車体番号 WP1ZZZ92ZBLA00838~WP1ZZZ92ZELA96941
▽カイエンS
型式 ABA-92AM48 / 車体番号 WP1ZZZ92ZBLA40147~WP1ZZZ92ZELA58956
型式 ABA-92AM48A / 車体番号 WP1ZZZ92ZBLA45850~WP1ZZZ92ZELA58799
▽カイエンGTS
型式 ABA-92AM48 / 車体番号 WP1ZZZ92ZDLA45087~WP1ZZZ92ZELA78161
型式 ABA-92AM48A / 車体番号 WP1ZZZ92ZDLA45086~WP1ZZZ92ZELA781010
▽カイエンターボS
型式 ABA-92AM48A / 車体番号 WP1ZZZ92ZBLA80105~WP1ZZZ92ZELA81162
▽カイエンターボS
型式 ABA-92AM48A / 車体番号 WP1ZZZ92ZELA85021~WP1ZZZ92ZELA87913
原動機不具合(2015年3月31日発表)
内容:
8車種のカムシャフト・コントローラに不具合があり、エンストなどの恐れがあるとして、国土交通省にリコールを届け出た。原動機のカムシャフト・コントローラで、カムギヤを固定しているボルトのボルトヘッド厚みの設計値が不適切なため、締付時にボルトが損傷しているものがある。そのため、カムギヤの固定が緩むことで異音や点火タイミングずれによるエンジン不調が発生し、そのままの状態で使用を続けると、最悪の場合、カムギヤの固定が外れてエンストし再始動不能となる恐れがある。これまでに、11件の不具合が発生している。
対象車両:
▽カイエンS
型式 ABA-92AM48 /車体番号 WP1ZZZ92ZBLA40147~WP1ZZZ92ZCLA43583
型式 ABA-92AM48A / 車体番号 WP1ZZZ92ZBLA45850~WP1ZZZ92ZCLA43329
▽カイエンターボ
型式 ABA-92AM48A / 車体番号 WP1ZZZ92ZBLA80105~WP1ZZZ92ZBLA81418
燃料装置、冷却装置の不具合(2015年3月25日発表)
内容:
「カイエンS ハイブリッド」「パナメーラS ハイブリッド」の燃料装置と冷却装置に不具合があり、燃料漏れやオーバーヒートの恐れがあるとして、国土交通省にリコールを届け出た。不具合は以下の2点。
(1)燃料装置で、燃料パイプとインジェクタ構成部品の製造時の公差により、燃料パイプとインジェクタを適正に取り付けられないものがある。そのため、使用過程で取付部に隙間が生じて燃料が漏れ、最悪の場合、火災に至る恐れがある。
(2)サーモスタットの内部部品の材質が不適切なため、使用過程で腐食するものがある。そのままの状態で使用を続けると、腐食が進行し、最悪の場合、サーモスタットが開かなくなり、冷却水が冷却されず、オーバーヒートになる恐れがある。
対象車両:
▽カイエンSハイブリッド
型式 DAA-92ACGE / WP1ZZZ92ZBLA94058~WP1ZZZ92ZCLA92876
型式 DAA-92ACGEA / WP1ZZZ92ZBLA94185~WP1ZZZ92ZCLA93232
2015年以前にも複数のリコール情報が発表されていますので、カイエンの購入を検討している方は、事前に購入予定の車両にリコール情報が出ていないか、リコールに対しての修理が行われているかを確認しましょう。
カイエンの各部品の修理費用
ここでは、各部品の修理費用の相場をご紹介いたします。
- エンジンからのオイル漏れ:約100,000円~
- 冷却水の漏れ:約100,000円~約200,000円
- カルダンシャフトの故障:100,000円~200,000円程
冷却水の漏れやカルダンシャフトの故障については、どの程度の故障によるかで修理費用が大幅に異なってきます。突然の故障は仕方ありませんが、定期的に点検をすることで、大きな出費を避けることができる可能性があります。
なお、国産車よりも短い期間で消耗品等の交換も必要となることが多く、数万~数十万円程のまとまった費用がかかることも念頭に置いておきましょう。
カイエンのオーナーの評判
輸入車でありながら、カイエンは故障の可能性が低いと周知されており、国内においても絶大な人気を誇るカイエンですが、実際に所有している方の評判はどうなのでしょうか。
「エンジンの音がすばらしい」
エンジンの音が素晴らしく、スタート時のエンジン音に惹かれたという方は少なくありません。そのうえ、乗り心地が良く、想像以上の満足度を得られているようです。
「上質な車両である」
外装の高いデザイン性はもちろん、内装の品の良さも好評で、さすが世界トップクラスのポルシェだと讃える声が多いです。
「運転する喜びを与えてくれる」
走行中は快適にハンドルを握ることができ、運転してる!という感覚を常に与えてくれる魅力が溢れる車両であり、特に男性にとっては最高の優越感を味わえるという声が多くあります。
上記のようにカイエンの魅力を語るオーナーは多いですが、故障に関して懸念の声があることも事実です。
しかし、故障があってもカイエンへの愛情が減少することはなく、故障も含めカイエンを所有している喜びやカイエンへの愛しさなどを感じることができました。
人の心を掴むほどの魅力を持ち合わせる1台と言えるでしょう。
カイエンとはどんな車?
初代カイエンが発売されたのは2002年、ポルシェで初のクロスオーバーSUVです。
発売当初から世界から注目を集め、富裕層のみならず幅広い層から支持を受けています。
現在発売されているカイエンは、2代目後期モデルで、初代カイエンに比べると燃費消費量も改善しています。
高速道路走行の安定感はもちろん、雪道など厳しい環境下での走行にも優れているにも関わらず、街乗りにも最適なハンドルさばきができることが、カイエンの魅力です。
外装のデザインにおいても、上品かつ優雅なデザインでありながら、圧倒的な存在感をしめし、人々を魅了させます。
車内も広く、ゆったりとした室内であることから家族向けにも人気の高い1台です。
また、カイエンの最大の魅力ポイントは多様なエンジンが揃っていることが挙げられます。
カイエンをはじめとする、「カイエンS」「カイエンS E-ハイブリッド」「カイエンGTS」「カイエン・ターボ」「カイエン・ターボS」の6つのタイプから選ぶことができ、それぞれに合ったエンジンタイプの車両を購入することが可能です。
カイエンを中古車で購入する際に気をつけること
カイエンに限らず、中古車を購入する際は、まず実際に車両を確認することが重要なポイントとなります。
最近では、インターネット上で検索~契約まで完了するとこともあり、納車されて初めて車体を見たという方も少なくありません。
しかし、納車後に写真では見つけれなかった傷があった、車内が臭かった、タイヤの溝が殆どなかったなど様々なトラブルが報告されています。
近隣の中古車販売店でなければ実際に見に行くことは難しいかもしれませんが、決して安い買い物ではありませんので、可能な限り、実車を確認してから契約を勧めるようにしましょう。
また、エンジン回りなど素人目では確認できないこともありますが、担当者や整備士の方と一緒に確認をさせてもらい、不明な点や不安な箇所があれば都度質問するようにすることをおすすめします。
所有していくうえでのまとまった出費は仕方ありませんが、購入後すぐの出費は避けたいですし、すぐに故障してしまったとなれば購入したことを後悔してしまう場合もあります。
念には念を入れて、契約前にすみずみまでチェックしておきましょう。
まとめ
今回は、ポルシェで初のクロスオーバーSUV「カイエン」についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
世界トップクラスの自動車メーカーということもあり故障に関する報告は、他の輸入車に比べ少ない傾向にあります。
しかし、国産車に比べると故障した際の費用など大きく異なってきますので、慎重に選ぶようにしましょう。