ファミリーカーとして人気のタイプであるミニバンですが、その中でもマツダ MPVはコストパフォーマンスが高いことで注目を浴びました。2016年に販売は終了となってしまいましたが、中古車で購入を検討している方も多いのではないでしょうか。今回はそんなマツダ MPVの故障(不具合)について解説していきます。
目次
マツダ MPVは故障(不具合)が多いのか?
マツダ MPVに関する故障(不具合)の声
40代/男性
初期のMPVに乗っていましたが、ドアミラーが故障しました。バックと連動して頻繁に稼働していたからだろうか・・・?
50代/男性
以前、MPVに乗っていましたが、全体的にいい車でした!故障はリアショックが腐食したり、助手席側のドアノブが破損したりはありましたが……。でも故障は少ないと思います。
30代/男性
中古車で購入しました。1年程経ちましたが、先日からABSなどの警告がつきっぱなしです。早く修理に出したいところですが、ちょっと行けそうにないので。。。センサーの故障ではなく、本当に故障ではないことを祈りたいですね。
60代/男性
20年近く乗っていましたが、大きな故障という故障はありませんでしたよ。ただ、たまにフロントサスから異音?がしていました。
20代/男性
中古車で購入しましたが、すぐにISCVが故障ました。購入前に交換はしてもらいましたが、リアエアコンユニットが腐食していたようで冷却水が漏れていました。整備記録簿にはラジエーター故障による冷却水漏れについても記載がありました。
50代/男性
新車で購入して長い間愛用していましたが、その間の故障は「グロープラグ」「スピードメーター」が故障しました。あとは電装系の故障は多い印象です。
40代/男性
大きな故障はありませんが、スライドドアのスイッチが壊れたことがあります。
50代/男性
A/Fの故障
スライドドアの故障
ラジエーターの故障
マツダ MPVの故障(不具合)が多い箇所
国産車における故障率はどのメーカーも大きく変わるということはないと思いますが、工業製品である以上、マツダ MPVに故障(不具合)が生じない可能性もゼロではありません。
マツダ MPにも故障(不具合)しやすい箇所というのがあり、次の様な部品は比較的故障(不具合)が多いと言われていますので注意が必要です。
- スライドドアの故障(不具合)
- エンジンからのオイル漏れ
- CDチャージャーの故障(不具合)
- オルタネーターの故障(不具合)
- アイドリングの不具合
- 電装系の故障(不具合)
マツダが発表しているMPVに関する故障・不具合・リコール情報
前輪サスペンションにおける不具合(2016年4月7日届)
前輪サスペンションにおいて、ダンパーとナックルの締め付け作業が不適切なため、ナットの締め付け力が不足しているものがあります。そのため、そのままの状態で使用すると、当該ナットが緩み、最悪の場合、ナットおよびボルトが脱落し、走行不能になるおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
DBA-LY3P | LY3P-302069~LY3P-302347(平成25年9月3日~平成25年11月25日) |
イグニッションスイッチにおける不具合(2015年10月15日届)
イグニッションスイッチにおいて、スイッチ内部の接点に過剰な量のグリスが塗布されたため、スイッチ操作時に発生するアーク放電の熱によりグリスが炭化して可動接点と固定接点間に堆積し、スイッチ内部の絶縁性が低下することがあります。そのため、そのまま使用を続けると接点間が導通してスイッチが発熱、発煙し、最悪の場合、火災に至るおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
E-LVEW | LVEW-100016~LVEW-504978(平成1年11月7日~平成11年2月22日) |
E-LV5W | LV5W-100010~LV5W-207276(平成6年12月3日~平成11年4月28日) |
KD-LVLR | LVLR-100023~LVLR-119368(平成7年10月3日~平成11年4月27日) |
KD-LVLW | LVLW-100010~LVLW-109956(平成7年10月6日~平成11年4月23日) |
フロント・ホイールハブの補修部品における不具合(2011年9月21日届)
フロント・ホイールハブの補修部品において、ハブボルト穴の加工が不適切なため、ホイールハブやハブボルトがディスクプレートと干渉するものがあります。そのため、そのまま使用を続けると、ホイールナットの緩みやハブボルトの折損が発生し、最悪の場合、走行不能に至るおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
KD-LVLR | LVLR-119119(平成10年12月22日) |
助手席に昇降シートを搭載した車両における改善対策(2010年11月25日届)
助手席に昇降シートを搭載した車両において、昇降シートの折畳式フットレストのヒンジ端部が露出しているため、フットレストを使用せずにシートの下降操作をした場合、当該ヒンジ端部に足等が接触し、最悪の場合、足等を負傷するおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
GF-LWEW | LWEW-152496~LWEW-194837(平成12年11月3日~平成14年6月13日) |
GF-LW5W | LW5W-114026~LW5W-240847(平成12年8月29日~平成14年5月16日) |
TA-LWFW | LWFW-100580~LWFW-102168(平成14年6月10日~平成14年6月11日) |
TA-LW3W | LW3W-103886~LW3W-109360(平成14年6月17日~平成14年8月8日) |
GH-LW3W | LW3W-100605~LW3W-105192(平成14年5月24日~平成14年7月12日) |
(1)油圧式パワーステアリング(2)自動変速機のシフトケーブルに関する不具合(2008年4月3日届)
(1)油圧式パワーステアリングの低圧側油圧ホースの製造工程が不適切なため、ホースが変形しているものがあります。そのため、ハンドル操作による油圧変動により、亀裂が生じて作動油が漏れ、最悪の場合、排気管に付着し火災に至るおそれがあります。
(2)自動変速機のシフトケーブルの取り回しが不適切なため、走行中の振動等により、ブレーキパイプと干渉するものがあります。そのため、そのまま使用を続けると、ブレーキパイプの防錆塗装が剥がれて錆が発生し、最悪の場合、錆が進行した箇所からブレーキ液が漏れ、制動力が低下するおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
DBA-LY3P | LY3P-100103~LY3P-205530(平成17年12月15日~平成20年3月14日) |
(1)駐車ブレーキペダルのケーブルガイドブラケット(2)前照灯を自動的に点灯作動させる装置における不具合(2007年3月1日届)
(1)駐車ブレーキペダルのケーブルガイドブラケットの加工が不適切なものがあります。そのため、ブレーキペダルを操作した際、ブラケットが変形し、駐車ブレーキペダルの踏み代が大きくなり、最悪の場合、制動力が低下するおそれがあります。
(2)前照灯を自動的に点灯作動させる装置(オートライト)を装着した車両において、電気回路が不適切なため、オートライトからの点灯信号が前照灯の自動照射方向調整装置(ヘッドライトオートレベリング)に入力されません。そのため、ヘッドライトスイッチを「AUTO」で点灯させた場合、自動照射方向調整装置(ヘッドライトオートレベリング)が正常に作動しないおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
DBA-LY3P | LY3P-124975~LY3P-150169(平成18年10月20日~平成18年12月5日) |
電動式スライドドアのドアラッチに関する不具合(2006年10月26日届)
電動式スライドドアのドアラッチ部の開閉スイッチの取付位置が不適切なものがあるため、手動でドアを強めに閉めると、スイッチスプリングとラチェットレバーが干渉するものがあります。そのため、ドアラッチが確実に作動せず、最悪の場合、ドアが閉まらないおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
DBA-LY3P | LY3P-116068~LY3P-119817(平成18年6月15日~平成18年7月31日) |
かじ取り装置のパワーステアリング用油圧ポンプのプーリー取り付けナットに関する改善対策(2006年6月8日届)
かじ取り装置のパワーステアリング用油圧ポンプのプーリー取り付けナットの締付け力及びプーリーの強度が不足しているため、当該プーリーの取り付けナットが緩む又はプーリーに亀裂が入るものがあります。そのため、そのままの状態で使用を続けると、異音が発生し、最悪の場合、当該プーリーが破損又は外れてハンドル操作力が増大するおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
GH-LW3W TA-LW3W |
LW3W-100030~LW3W-188729(平成14年3月19日~平成15年8月30日) |
LA-LW3W UA-LW3W |
LW3W-300014~LW3W-311757(平成15年9月5日~平成16年2月28日) |
CBA-LW3W ABA-LW3W |
LW3W-400001~LW3W-451048(平成16年3月1日~平成17年12月10日) |
エンジンの搬送工程における作業における不具合(2006年4月24日届)
エンジンの搬送工程における作業が不適切なため、作業中にオイルフィラーキャップを緩めてしまったものがあります。そのた
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
DBA-LY3P | LY3P-102849~LY3P-110010(平成18年2月9日~平成18年4月4日) |
リヤアクスルの製造工程において、組み付け作業が不適切に関するリコール(2006年3月29日届)
リヤアクスルの製造工程において、組み付け作業が不適切なため、ホイールハブとトレーリングリンクの組み付けボルトの締め付けが不足しているものがあります。そのため、そのままの状態で使用を続けると、当該ボルトが緩んで異音が発生し、最悪の場合、当該ボルトが折損し、脱輪して走行不能に至るおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
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DBA-LY3P | LY3P-102711~LY3P-105395(平成18年2月8日~平成18年3月4日) |
シフトレバー内部にある樹脂製ベースプレートとガイドプレートの締付けに関する不具合(2005年3月31日届)
コラム式自動変速機付き車において、シフトレバー内部にある樹脂製ベースプレートとガイドプレートの締付け構造が不適切なため、炎天下の屋外駐車などにより当該締付け部の締付け軸力が低下し、シフト操作の繰り返しにより締付ねじが緩んで異音や引っ掛かりが発生するものがあります。そのため、そのまま使用を続けると、最悪の場合、ねじが脱落してガイドプレートが外れ、シフト機構と連動しているキーインターロック装置が正常に作動しなくなり、イグニッションキーが抜けず、かじ取り装置の施錠装置が機能しなくなるおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
GF-LWEW | LWEW-100008~LWEW-106504(平成11年5月11日~平成12年2月29日) |
GF-LW5W | LW5W-100022~LW5W-127621(平成11年5月10日~平成12年2月29日) |
ブローバイガスを吸気管に導くPCVホースの形状に関する不具合(2004年6月26日届)
ブローバイガスを吸気管に導くPCVホースの形状が不適切なため、エンジンの負圧変動により当該ホースが伸縮します。そのため、そのまま使用を続けると、ブローバイガスまたはオゾンの影響で発生する微細な亀裂が進行し、当該ホースが破損するおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
TA-LWFW | LWFW-100014~LWFW-106420(平成14年3月18日~平成15年8月30日) |
かじ取り装置における不具合(2004年6月10日届)
かじ取り装置において、パワーステアリング用油圧ポンプ・プーリーの加工が不適切なため、プーリー取付ナットの締付力が低下するものがあります。そのため、そのままの状態で使用を続けると、当該プーリー取付ナットが緩み、パワーステアリング用油圧ポンプからプーリーが外れ、充電警告灯が点灯し、ハンドルの操作力が増大するとともにウオーターポンプが作動しなくなり、オーバーヒートして走行不能となるおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
GH-LW3W TA-LW3W |
LW3W-171835~LW3W-188729(平成15年3月3日~平成15年8月30日) |
LA-LW3W UA-LW3W |
LW3W-300014~LW3W-302610(平成15年9月5日~平成15年11月1日) |
オートクルーズ・コントロール装置装着車における不具合(2004年6月10日届)
オートクルーズ・コントロール装置装着車において、オートクルーズ・コントロール・ケーブルの取り付け部に曲げ応力に対する耐久性が不十分なものがあり、そのままの状態で使用を続けると、当該取り付け部(ケーブルブラケットに固定する部分)に亀裂が生じて破損することがあります。そのため、オートクルーズ・コントロール・ケーブルがケーブルブラケットに保持されなくなり、最悪の場合、オートクルーズ・コントロール・ケーブルがアクセルケーブルに引っ掛かり、オートクルーズ・コントロール・ケーブルのインナーワイヤーが引かれた状態となり、エンジン回転が下がらなくなるおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
GF-LW5W | LW5W-100025~LW5W-241022(平成11年5月10日~平成14年3月20日) |
集中アース・ジョイント・コネクタに関する不具合(2004年3月4日届)
エンジンルーム内に配置された集中アース・ジョイント・コネクタ(EGIメインリレーやフォグランプ等の灯火器のアース用)の接続端子部の許容温度が不足しているため、通電による発熱により、当該端子部が溶損し、当該端子部が導通不良となって、アースが適切になされなくなるものがあります。そのため、方向指示器等を点灯すると、灯火装置(方向指示器、車幅灯等)及び一部車両においてはワイパーが正常に作動しなくなるおそれがある。または、ハザードもしくはフォグランプを点灯させる、または一部車両においてウインド・ウォッシャを作動させると、EGIメインリレーが正常に作動しなくなり、エンジンが停止するおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
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GF-LW5W | LW5W-100022~LW5W-241024(平成11年5月10日~平成14年3月23日) |
GF-LWEW | LWEW-100010~LWEW-195097(平成11年5月11日~平成14年3月15日) |
フロント・フォグランプ装備車両における不具合(2003年2月13日届)
フロント・フォグランプ装備車両において、フォグランプ・バルブソケットの組付けが不適切なものがあり、走行時の振動により当該バルブソケットがフォグランプ・ハウジングから脱落し、バルブの発熱により周辺の樹脂製部品が発火し、最悪の場合、火災に至るおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
TA-LW3W GH-LW3W |
LW3W-100031~LW3W-166852(平成14年3月19日~平成15年1月21日) |
TA-LWFW | LWFW-100014~LWFW-105206(平成14年3月18日~平成15年1月21日) |
原動機における改善対策(2001年12月20日届)
原動機において、発電機等の補機駆動用ベルトの張力を維持するベルトテンショナーの取付軸部のカシメが不充分なものがあるため、当該ベルトテンショナーが取付部から脱落することがあり、補機駆動用ベルトが外れて発電機及びパワーステアリング用油圧ポンプが作動しなくなり、充電警告灯が点灯するとともに、ハンドル操作力が増大するおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
GF-LW5W | LW5W-208514~LW5W-224870(平成12年11月13日~平成13年7月13日) |
スライド式リヤドアにおける不具合(1999年7月22日届)
スライド式リヤドアにおいて、ドアロック装置のリンクの溝の形状が不適切なため、室内ハンドルでドアを開くことをできなくする装置(チャイルドプルーフ装置)を作動させた状態でドアを開閉した際に、ドア・ラッチのかみ合いが不完全となるときがあり、最悪の場合、走行中にドアが開くおそれがあります。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
GF-LWEW | LWEW-100008~LWEW-100372(平成11年5月10日~平成11年7月13日) |
GF-LW5W | LW5W-100022~LW5W-103891(平成11年5月10日~平成11年7月14日) |
マツダ MPV各部品の修理費用
マツダ MPVここでは、各部品の修理費用の相場をご紹介いたします。
故障(不具合)箇所 | 費用 |
---|---|
オルタネーターの故障(不具合) | 5万円以上 |
インマニの故障(不具合) | 5万円~ |
電装系の故障(不具合) | 5万円~10万円程度(場合によってはそれ以上) |
エンジンからのオイル漏れ | 1~2万円前後 |
O2センサーの故障(不具合) | 2万~5万円程度 |
CDチャージャーの交換 | 5万円前後 |
プロペラシャフトの交換 | リビルト品でも10万円前後~、新品交換の場合は15万円程度 |
マツダ MPVオーナーの評判
では、実際にマツダ MPVを所有していた方、所有している方の評判を見ていきたいと思います。
ポジティブ、ネガティブに分けてご紹介します。
まずはポジティブな評判です。
- マツダ車の中では割と柔らかい乗り心地
- 路面の凹凸を吸収してくれるのでいい
- とても静かな乗り心地
- 加速がスムーズ
- ライトが明るく視認性に優れている
- ターボがなくても快適な走行
- スイッチ類が操作しやすい
- 内外装ともに飽きのこないデザイン
- 雪道でもパワフルな走行をしてくれる
次にネガティブな評判をまとめました。
- 車体サイズの割にカーブのロールが少ない
- シートアレンジは少ない
- フル人数で乗車すると非力な感じがある
- 2列目シートがフラットにならない
- パーツが少ない印象
MPVとはどんな車?
MPVは、マツダ株式会社(以下、マツダ)が製造や販売を担っていた普通乗用車です。現在の日本における「ミニバン」のパイオニア的存在と言っても過言ではありません。
MPVは、1988年に北米向けに生産が始まり、その2年後1990年1月に日本国内での販売が開始されたという経緯があります。
発売当初から、その前衛的かつ斬新なパッケージング(形態)や、高機能・高性能なシステムなどが話題となり、早くからミニバン界を背負って立つ存在となっていきました。
MPVは1988年〜1999年にかけて販売されていた初代(LV系)、そして1999年〜2006年まで販売されていた2代目(LW系)、2006年〜2016年にかけて販売されていた3代目(LY系)に分けられています。
このMPVという車名の由来は「Multi-Purpose-Vehicle」の頭文字で、和訳すると多目的車両となりますので、やはり現在でいうミニバンの先駆者と言えるでしょう。
ただ、肝心のマツダはMPV発売当初、「ミニバン」ではなく「新カテゴリーの多目的高級サルーン」と称しています。また、当時はミニバンというよりもクロスオーバー的な側面が強く、カテゴリーもクロスオーバーに分類されることが多くありました。
ちなみに、初期のMPVのリアドアについている窓は、固定式で開閉できないタイプでした。乗ってみて驚いた人や、懐かしいと感じる人も多いのではないでしょうか?
さて、そんなMPVですが、日本では1990年に登場してから、2016年3月に販売が終了するまで、独自の路線をひた走ってきた車種でもあります。
特に「走り」を重視した改良が目立ちましたが、その「走り」とミニバンの醍醐味「室内空間の広さ」、そしてこのカテゴリーでは「お手頃な価格」などが相互作用し、瞬く間に人気車種となっていったのです。
そんなMPVの特徴やスペック、中古車価格などをご紹介します。
2代目から大きな変化が見え始める
MPVは、発売から1年10ヶ月後の1991年10月、マイナーチェンジにともなって「εfini MPV(アンフィニMPV)」となり、アンフィニ店でのみ販売されることになりました。
その後、1997年11月にアンフィニ店が廃止となったことにともない、再び「マツダMPV」へと車名が変更になったという経緯があります。
MPVに大きな変化が生じたのは、2代目です。
駆動方式がFR(後輪駆動)からFF(前輪駆動)へと変更になっているほか、リアドアも両側スライドドアに変更、エンジンは直列4気筒2.0Lとフォード製のV6型2.5Lを用意、セカンドシートにKARAKURIシートを採用、車軸式リアサスペンションの採用などがみられます。
グレードも標準モデルのほか、2.5Lの「Gパッケージ」「スポーツパッケージ」「Lパッケージ」といった4種類が用意されるなど、「新カテゴリーの多目的高級サルーン」から「ミニバン」らしさが全面に押し出されることとなりました。
また、2代目ではさまざまな「特別仕様車」「限定モデル」も販売されています。
例えば1999年の「アーバンブレイク」は、上記2.0Lの標準モデルをベースとしていますが、オーディオシステムが選べたりボディと同色のアウタードアハンドルを装備したり、フロントシートのアームレスト、運転席シートリフター、ダークティンテッドガラスなどを装備するなどしています。
翌2000年6月には同じく標準車をベースとし、スポイラーやフロントフォグランプ、ジャガードモケットのシート表皮、15インチアルミホイールなど装備や機能を充実させた「ブリーザ」を発売しています。
この「アーバンブレイク」と「ブリーザ」は好評だったことから、のちにカタログモデルになっています。
その後も2000年9月に「@NAVI(アットナビ)」、同12月には「アストラル」、2001年4月には「@NAVI SPORTS」、同10月には「フィールドブレイク」といったように、2代目は積極的に特別仕様車や限定車を生産していたのも、MPVの大きな特徴であり、またユーザーを楽しませてくれた部分でもあります。
3代目のデザインコンセプトは「刀の研ぎ澄まされた質感」
2006年から2016年にかけて販売されていた3代目MPVは「刀の研ぎ澄まされた質感」というデザインコンセプトを打ち立て、開発されました。
ボディサイズは、当時の国内ミニバンでは最大級となる全幅1850mmを実現したにも関わらず、最小回転半径を5.7mに収めるなど、大型化されつつもコンパクト性を失わない見事な設計となっています。
また、3代目は「スポーツカーの発想で、ミニバンを変える」というキャッチコピーが用いられ、エクステリアや走行性能についても大きな変化が見えます。
全高を下げたことでよりスポーティーさが増したほか、V6型のエンジンは廃止となり、2.3L直列4気筒 DOHCエンジン(163PS)および新しく開発された2.3L直噴DIターボ(245PS)などが搭載されています。
このほか、環境性能も向上しており、全車とも「SU-LEV(平成17年基準排出ガス75%低減レベル)」国土交通省の認定を取得しています。同時に「平成22年度燃費基準+5%」も達成し、「グリーン税制」に適合しました。
MPVの開発当初、マツダはミニバンではなく「新カテゴリーの多目的高級サルーン」としての地位の確立を狙っていました。
ところが、2代目ではミニバンの要素を全面的にプッシュするようになり、3代目においてはスポーティーさでミニバンを変えていくという強い信念が見られるなど、マツダのMPVにかける想い、そして柔軟な時代の変化への対応なども垣間見える車種と言えるでしょう。
MPVのスペックなど基本情報
1988年(日本では1990年)からの初代、1999年からの2代目、2006年からの3代目それぞれの、基本的なスペックを比較してみます。細かいスペックはグレードや仕様などにより異なります。
初代MPV
- ボディタイプ:ミニバン
- ドア数:5ドア
- 乗車定員:8名
- エンジン:V型6気筒(3.0L)およびディーゼルターボ(2.5L)
- 駆動方式:FR / 4WD
- トランスミッション:4速オートマチックトランスミッション
- 寸法:全長4465mm-4660mm / 全幅1825mm / 全高1755mm-1815mm
- ホイールベース:2805mm
2代目MPV
- ボディタイプ:ミニバン
- ドア数:5ドア
- 乗車定員:7名
- エンジン:直列4気筒DOHC(2.0L / 2.3L)およびV型6気筒DOHC(2.5L / 3.0L)
- 駆動方式:FF / 4WD
- トランスミッション:4速および5速オートマチックトランスミッション
- 寸法:全長4750-4810mm / 全幅1820-1830mm / 全高1745mm
- ホイールベース:2840mm
- 車両重量:1610-1740kg
3代目MPV
- ボディタイプ:ミニバン
- ドア数:5ドア
- 乗車定員:8名(2012年からは7名)
- エンジン:L3-VE型 2.3L直列4気筒DOHCおよびL3-VDT型 2.3L直列4気筒DOHC直噴ターボ
- 駆動方式:FF / 4WD
- トランスミッション:4速・5速・6速オートマチックトランスミッション
- 寸法:全長4860mm / 全幅1850mm / 全高1685mm
- ホイールベース:2950mm
- 車両重量:1720-1950kg
MPVの中古車価格
マツダのホームページで販売終了が発表されてからすでに3年が経過していますが、いまだにMPVの人気は衰えるところを知りません。中古車市場でもやはり人気車種のひとつとなっています。
2019年6月の調査時点では、およそ600台の中古車が確認できました。価格帯は10万円〜200万円と幅が広くなっています。
参考になるのは、平均相場でしょう。
おおよそ40万円前後となっていますので、初めてのミニバンという人や、MPVを味わってみたいという人などは、かなり手に入れやすい価格帯になっています。
特にお手頃なのは2002年式あたりのモデルで、走行距離5万km前後のものが50万円以下でラインナップされています。
また、のちにカタログモデルとなったアーバンブレイクやブリーザのほか、アストラル、フィールドブレイクといった特別仕様車や限定モデルなども多く並んでおり、「選ぶ楽しさ」もあるのではないでしょうか。
ミニバンの先駆者として登場し、時代の流れとともにミニバン、スポーティーなミニバンへと進化を遂げたMPVは、マツダ車が初めてという人にもおすすめの平成を代表する貴重な車種です。ぜひ中古車情報をチェックして、掘り出し物を見逃さないようにしましょう。
マツダ MPVを中古車で購入する際に気をつけること
マツダ MPVの中古車を購入する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
以下にまとめたので、参考にしてください。
- パワステに関するリコール対応がなされているか
- その他リコール対応がなされているか
- エンジン始動後、異音や違和感、白煙・黒煙などの異常がないか
- エンジンやエンジン回りの部品に劣化がないか、整備がきちんと行われているか
- 車両に歪みやへこみがないか
- 下回りにオイル漏れや冷却水漏れの跡がないか
- スライドドアに不具合がないか
- スイッチやパワーウィンドウなど電装系が正常に作動するか
以上の点を踏まえて、購入前には念入りにチェックしておきましょう。
まとめ
今回は、ミニバンの先駆者であるマツダ MPVの故障(不具合)に関して紹介してきました。
過去の故障事例は少ないとは言えませんが、中には長く乗っていても故障(不具合)の経験が1回もないというオーナーもいます。
車は精密機械であることから、故障(不具合)と隣り合わせであることは間違いありませんし、当たりハズレだってあるでしょう。
ですが、日々のメンテナンスや点検を丁寧に行っておくことで、故障(不具合)を未然に防ぐことができたり、最小限で抑えることができたりする可能性もあります。
中古車で車両を購入する際は、前オーナーがどのような乗り方をしていたか完璧に把握することはできませんが、各部品の手入れ具合や整備記録簿などを参考に選んでいきましょう。