個性派ハッチバックとしてスタイリッシュなデザインを放つシトロエン DS3は、男女問わず好まれるおしゃれなコンパクトカーです。シトロエンはフランスの自動車メーカーですが、外車を購入する際に必ず気になるのが故障だと思います。今回は、シトロエン DS3は故障(不具合)しやすいのか、過去の故障事例にはどんなものがあるのか、リコール情報など徹底解説していきます。
目次
シトロエン DS3は故障(不具合)が多いのか?
シトロエン DS3に関する故障(不具合)の声
30代/男性
やっとシトロエンDS3が納車されたー!と思ったのもつかの間……1ヶ月ほどでオイルとLCC漏れが発覚。大きな故障ではありませんが、ショックは大きい。
40代/女性
故障ではありませんが、3日前ほどから主人が、エンジンをかけた直後にエンジン回転が波打つような感じがあると言っています。近々ディーラーに持って行く予定ですが、なにもないといいな。
50代/男性
パワーウィンドウが作動しないなど保証範囲内ではない故障が立て続けに起きています。でも見惚れるほどタイプの車なので、それも可愛いと思えますが、故障が続くと維持が難しくなりますね。
40代/女性
新車で購入して2年が経ちました。先日、定期点検してもらったところ、水温計センサーが故障するかもしれないと言われ、交換をお願いしました。大きな故障ではなかったのでよかったですが、水温計のセンサーってこんなに早く故障するのでしょうか?
シトロエン DS3の故障(不具合)が多い箇所
シトロエンは2017年 ドイツ自動車耐久品質調査において、ランキング22位と業界平均を大幅に下回るスコアをたたき出しています。
しかしながら、ランクの高い日本車であっても、シトロエンであっても、工業製品である以上、車の故障は仕方ないものです。
シトロエン DS3にも故障(不具合)しやすい箇所というのがいくつかあり、次の様な部品は比較的故障が多いため注意が必要です。
- セルモーターの故障(不具合)
- オルタネーターの故障(不具合)
- オイルやLCC漏れ
- コンプレッサーの故障
- パワーウィンドウの故障(不具合)
上記のような箇所が挙げられます。
なお、上記で挙げた箇所はもちろん、ミッションや、電装系の故障などが故障した場合、国産車の倍以上の修理費用が掛かる可能性があるため、十分な点検やメンテナンスをしておいた方が良いでしょう。
シトロエンが発表しているDS3に関する故障・不具合・リコール情報
エアバッグ装置(インフレータ)に関するリコール(2018年3月16日届)
運転席用または助手席用のエアバッグのインフレータ(膨張装置)において、ガス発生剤の吸湿防止が不適切であった場合、高い湿度の環境下で温度変化を繰り返すと、ガス発生剤が劣化することがある。そのため、エアバッグ展開時にインフレータ容器が破損するおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
-A5C5F04-(ds3) | VF7SA5FD8DW618265~VF7SA5FD8DW629837(平成25年12月18日~平成26年2月27日) |
ABA-A5C5F01(ds3) | VF7SA5FS9CW620619~VF7SA5FS9DW652902(平成25年3月4日~平成26年1月15日) |
ABA-A5C5F02(ds3) | VF7SA5FV8DW505885~VF7SB5FV8DW688473(平成25年3月4日~平成26年2月27日) |
ABA-A5CHM01(ds3) | VF7SAHMZ0DW586908~VF7SAHMZ0DW691124(平成26年1月15日~平成26年2月27日) |
横滑り防止装置(ESP)に関するリコール情報(2017年10月31日届)
横滑り防止装置(ESP)において、ブレーキ液の圧力を制御する液圧調整器(ESPブロック)の製造が不適切なため、電子制御によるブレーキ液の圧力調整が行われないことがある。そのため、アンチロックブレーキシステム(ABS)及びESP機能が作動せず、最悪の場合、急制動時または、旋回時等に走行安定性を損なうおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
ABA-A5CHN01 | VF7SAHNZTGW556199~VF7SBHNZTGW565477(平成28年5月16日~平成28年6月15日) |
エアバッグ装置(インフレータ)に関するリコール情報(2017年7月14日届)
運転席用または助手席用のエアバッグのインフレータ(膨張装置)において、ガス発生剤の吸湿防止が不適切であった場合、高い湿度の環境下で温度変化を繰り返すと、ガス発生剤が劣化することがある。そのため、エアバッグ展開時にインフレータ容器が破損するおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
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-A5C5F04- | VF7SA5FD8BW575233~VF7SA5FD8BW643109(平成23年9月1日~平成24年4月26日) |
ABA-A5C5F01 | VF7SA5FS99W500719~VF7SA5FS9CW622793(平成21年12月24日~平成25年3月4日) |
ABA-A5C5F02 | VF7SA5FV8BW572791~VF7SB5FV8CW613701(平成24年1月11日~平成25年3月18日) |
ABA-A5C5F04 | VF7SA5FR89W500726~VF7SA5FR8BW620053(平成22年3月24日~平成24年1月11日) |
サスペンション(ロアアーム取り付けボルト)に関するリコール情報(2014年7月16日届)
フロントサスペンションにおいて、ロアアーム取り付けボルトの強度が不足しているものがある。そのため、そのままの状態で使用を続けると、ボルトが破損して、異音が発生し、最悪の場合、ステアリング操作に支障をきたすおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
ABA-A5C5F01 | VF7SA5FS9DW635285~VF7SA5FS9DW652902(平成25年11月15日~平成26年1月15日) |
ABA-A5C5F02 | VF7SA5FV8DW634479~VF7SB5FV8DW669470(平成25年11月15日~平成26年2月9日) |
ABA-A5CHM01 | VF7SAHMZ0DW663372~VF7SAHMZ0DW673080(平成26年1月15日~平成26年2月9日) |
制動操縦安定装置(ABS/ESP油圧ブロック)に関するリコール情報(2012年7月19日届)
エンジンルーム内のABS/ESP油圧ブロックにおいて、部品製造工程で内部部品の油圧制御用ピストンを誤って組付けしたものがある。そのため、ABS及びESPが正常に作動しないおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
ABA-A5C5F02 | VF7SA5FV8BW594815-VF7SA5FV8CW511672(平成24年1月11日~平成24年3月26日) |
操縦装置(クラッチペダル)に関するリコール情報(2012年4月2日届)
クラッチペダルとクラッチマスターシリンダープッシュロッドの接続部において、車両製造工程で確実に固定されていないものがあり、クラッチペダルを操作した際に接続が外れてしまい、変速が出来なくなるおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
ABA-A5C5F04 | VF7SA5FR8BW572762-VF7SA5FR8BW581534(平成23年8月30日~平成23年9月1日) |
電気配線(バッテリー・マイナスケーブル)に関するリコール情報(2011年11月28日届)
エンジンルーム内の電気配線において、バッテリー・マイナスケーブルの寸法が不適切なため、マイナスケーブルに過度の張力がかかっているものがある。そのため、そのままの状態で使用を続けると、マイナスケーブルが破断して、エンジンが停止し、再始動できなくなり、全電気装置が作動しなくなるおそれがある。
対象車両
型式 | 車台番号 |
---|---|
ABA-A5C5F01 | VF7SA5FS9AW591321-VF7SA5FS9BW553447(平成23年1月7日~平成23年8月3日) |
シトロエン DS3の各部品の修理費用
ここでは、各部品の修理費用の相場をご紹介いたします。
故障箇所 | 費用 |
---|---|
エアコン(コンプレッサー)故障 | 10万~20万円前後 |
パワーウィンドウやウィンドウレギュレーターの故障 | 約10万円 |
セルモーター故障(不具合) | 5万円程度 |
ミッションの不具合 | ソレノイドバルブ交換の場合:10万円程度、全交換の場合30万円前後 |
電装系の故障 | 10万円~15万円以上かかることもある |
外車は国産車の修理費用の2~3倍の費用がかかると言われています。
また、上記の修理費用に加えて、工賃が発生します。工賃については、各整備工場で異なりますので、事前に必ず確認しておきましょう。
シトロエン DS3のオーナーの評判
国産車に比べるとシトロエン DS3の故障について懸念されますが、実際にDS3を所有しているオーナーの評判はどうなのでしょうか?
まずはポジティブな意見です。
- 日本の道路事情にも問題ない!
- おしゃれなデザインでどこにいても目立つ
- 上品なインテリア
- カラーバリエーションが豊富
- 安全性能に優れている
- 長距離運転しても疲れ知らず
- 手ごろな大きさ
- 重圧な乗り味
- 警告音がおしゃれ
一方で、ネガティブな意見として以下のようなことが挙げられていました。
- ドリンクホルダーがない
- 視界が狭い
シトロエン DS3を所有するオーナーの方々は、特にデザイン性に大変満足している方が多く、「久々に惚れた」「例えレッカー車に乗せられた後ろ姿であっても美しい」とベタ惚れ状態の方ばかりでした。
それほど、他にはないデザインを誇る1台ということですね。
シトロエン DS3とはどんな車?
シトロエンDS3はフランスの自動車メーカーシトロエンが開発した、日本では2010年から現在まで販売されている車種です。標準モデルは3ドアのハッチバック型コンパクトカーで、後からセミオープンのモデルも販売されています。
元々シトロエンが製造・販売していましたが、2014にDSブランドだけが「DSオートモービル」として独立しており、東京にもDSショップが2018年11月に進出しています。
「DS」という名前は1955年にシトロエンが発表し、ロングセラーとなった高級車「シトロエンDS」が由来となっており、シトロエンのC系車種(シトロエンC3など)とは別の高級路線の車種と位置付けられているようです。これまで一度もフルモデルチェンジせず、10年近く販売され続けています。
シトロエンDS3はファッション性の高さが魅力!
シトロエンDS3の一番の特徴と言えるのがそのオシャレな外観です。コンパクトですがフランスらしいクールな優雅さも兼ね備え、プレミアム感があります。
また、DS3は「ビークルパーソナリゼーション」と呼ばれるボディカラーやルーフカラー、内装の材質、ステッカーなど様々な部分を購入者が選べるという受注システムを採用しています。つまり、組み合わせによっては世界で1台のオリジナルを持つことができ、「他の人と同じ車は嫌だ」という人にとって嬉しい車なのです。
もちろん、中古市場に出回っている車も、同じグレードでもカラーの組み合わせや内装などは車によってかなり違いがあります。
シトロエンDS3はレーシングカーのベースにもなっている
シトロエンDS3はモータースポーツに使用するレーシングカーのベースにもなっています。FIA 世界ラリー選手権(WRC)に出場したDS3 WRCやWRCグループR3クラス向けのDS3 R3Tなどがあり、ヨーロッパなどでのレースでは好成績を収めています。
レーシング仕様車は国内に僅かしか入ってきていませんが、中古車販売サイトで検索すると僅かながら販売されていることがあります。
シトロエンDS3のグレードとスペック
シトロエンDS3のハッチバックモデルには3つの基本グレードが設定されています。全てハイオクのガソリン車です。
シック
1.2L 直列3気筒ターボエンジン(1.2L PureTechターボエンジン)が搭載された標準グレードです。トランスミッションは6速オートマとなっています。ただし、2014年までのシックは1.6L直列4気筒エンジンで4速オートマが標準となっていました。
「シックDS LEDビジョンパッケージ」との違いは、フロントライトにハロゲンヘッドライトを使っていること、「アクティブシティブレーキ」がないことなどがあります。
シックDS LEDビジョンパッケージ
「シック」と同様、1.2L 直列3気筒ターボエンジン(1.2L PureTechターボエンジン)が搭載されたグレードです。こちらも6速オートマ車となっています。
フロントライトにバイキセノンヘッドライトを使用し、車の前に障害物がある時に運転手が回避行動を取らない際、自動でブレーキをかける「アクティブシティブレーキ」システムがついているのがシックとの違いです。
スポーツシック
「スポーツシック」はその名の通り、スポーツカーに寄せたグレードです。エンジンは1.6L 4気筒直噴エンジンにツインスクロールターボが搭載、トランスミッションは6速ミッションに変更されており、より力強く滑らかな走りができるようになっています。
また、リアルーフスポイラー、アルミペダルを標準装備し、シートもシックより身体をホールドするようなものに変わっているなどスポーツの名にふさわしい仕上がりと言えるでしょう。
シトロエンDS3にはハッチバックモデルの他に、「カブリオ」と呼ばれるセミオープンカーとなる「カブリオ」もあります。カブリオの基本グレードはシックのみです。
シック
性能的にはハッチバックタイプのシックと同じです。
カブリオの特徴であるルーフはソフトトップとなっており、ボタンで自動開閉ができるようになっています。ボタンを押す長さによって、天井部分だけを開いたり、後ろのハッチまで開くなど調整が可能です。
ちなみに2015年まではハッチバックタイプのスポーツシックと同じ1.6L直噴エンジン+6速MTのスポーツシックが基本グレードとなっていました。
まとめると、現在販売しているグレードは大きく分けて以下の4種類があることになります。
- ハッチバックのシック
- ハッチバックのシックDS LEDビジョンパッケージ
- ハッチバックのスポーツシック
- カブリオのシック
また、時期によって様々な期間限定モデルも販売していますが、どのモデルも少数限定となっており、日本で出回っている数は多くありません。
その他の細かいスペックは以下の通りです。
サイズ | 3,965mm×1,715mm×1,455mm |
ホイールベース | 2,455mm |
車両重量 | 1,170kg |
乗車定員 | 5人 |
ボディ | 3ドアハッチバック、3ドアハッチバック 電動ソフトトップ付 |
エンジン | |
シック・シックDS LEDビジョンパッケージ | 1.2L直列3気筒 |
スポーツシック | 1.6L 直列4気筒 |
駆動方式 | FF |
最高出力 | |
シック・シックDS LEDビジョンパッケージ | 81KW(110PS)/5,500rpm |
スポーツシック | 121KW(165PS)/6,000rpm |
最大トルク | |
シック・シックDS LEDビジョンパッケージ | 205N・m(20.9kgf・m)/1,500rpm |
スポーツシック | 40N・m(24.5kgf・m)/1,400~3,500rpm |
変速機 | |
シック・シックDS LEDビジョンパッケージ | 6速AT |
スポーツシック | 6MT |
シトロエンDS3の新車・中古車価格
シトロエン3DSは現在も新車を購入でき、シックで259万円からとなっています。上でも書いた通り、ボディカラーや装備の材質などを色々カスタマイズできるので、選ぶ内容によっては値段はこれより上がります。
一方、中古車はシックでも様々な種類があり、車の状態も相まってかなり値段がバラついています。安いものだと30万円台、高いものだと200万円を超えとなっており、平均すると、80万円から100万円辺りが相場となるでしょうか。
また、カブリオやDS3レーシングといったタイプはそもそも流通量も少なく、価格はカブリオで120万円前後、レーシングだと200万円以上が相場となります。
シトロエン DS3を中古車で購入する際に気をつけること
前述した通り、シトロエン DS3は、タイプが豊富であるため、中古車市場での価格も幅広いです。
中には、外見からは判断できない箇所に傷や不具合がある場合もあり、価格だけで判断することは絶対に避けましょう。
シトロエン DS3を中古車で購入する場合は、以下の点に注意しながら確認することをお勧めします。
・車両の状態
外装や内装はもちろん、消耗品などの交換履歴、各部品の劣化具合など、普段はなかなかみることのない部分までしっかり確認してください。
また、試乗することが可能であれば、実際にエンジンをかけて動かしてみましょう。その際に、エンジンから異音がしないか、タイヤ周りに違和感がないか、エアコンやオーディオなどの装備が使えるかなども確認しておいてください。
・保証
シトロエン DS3は外車のため、国産車以上に修理や交換費用が掛かってきます。経済的に余裕があれば問題ありませんが、突然の故障でも慌てないように、日ごろから故障に備える必要があります。
そこで頼りになるのが、販売店の保証です。保証内で対応できれば、高額の修理費用を払わずに済みますので、各販売店の保証がどうなっているのか、保証期間や適用範囲はどの程度かをしっかり把握しておきましょう。
まとめ
今回は、おしゃれな車両としてオーラを放つシトロエン DS3の故障について解説してきました。
- とにかくおしゃれな車に乗りたい!
- 他人と被らない車に乗りたい
- 個性的な車に乗りたい
このような方々にはぜひおすすめしたい1台です。
確かに、国産車に比べると故障は多いかもしれません。
しかし、所有している方々の中には、過去1度も故障したことがないという方もいらっしゃいます。
車の故障は、そもそもの製品自体の故障も考えられますが、日々のメンテナンスや部品交換、車の保管状態など様々な理由から引き起こされます。
大切に所有していけば、ある程度の故障は免れるのではないでしょうか。
故障してもなお可愛いと思えるシトロエン DS3。
ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。